アート

Posted on 2017-03-16
【美術展レビュー】「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」 千利休が使った(であろう)茶碗を見るチャンス


エントランスを入ってすぐの展示室には、千利休が使ったであろう、初代長次郞の茶碗が複数展示されている。茶碗を見ていると緊張感とともに温かみも感じる。


「不連続の連続」から生まれた名碗が勢揃い
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」が2017年(平成29年)3月14日(火)から東京国立近代美術館で開催中です。

樂(らく)家とは、初代長次郞から現在の十五代樂吉左衞門まで、約450年間にわたって連綿と続く陶家です。

展覧会のタイトルに入っている「一子相伝」とは、技芸などの秘伝や奥義を、自分のひとりの子だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないことです。「一子」とは実子に限らず、代を継ぐひとりの子のことです。「相伝」とは代々伝えることを意味します。

つまり一子相伝とは、伝統という言葉では片付けられない「不連続の連続」だと言えるでしょう。

樂家450年の伝統と技
今回の「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」は、千利休が愛した初代長次郞の黒楽茶碗「大黒」をはじめとして、重要文化財が数多く出品。樂家450年の伝統と技が見られます。

樂家の展覧会は、ロサンゼルス(カウンティ美術館)、サンクトペテルブルク(エルミタージュ美術館)、モスクワ(プーシキン美術館)で開催され、あわせて約19万人を動員し好評を博しました。特にモスクワでは約13万人が来場しました。今回の展覧会は、さらに充実度を増して、凱旋開催されているものです。

15代続いている樂家は、それぞれの代がそれぞれの「現代」という中で試行錯誤し創作を続けてきました。今回の展覧会では、初代長次郞をはじめとする歴代の「現代」を見ることで、一子相伝の中の現代性に迫っています。

「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」
会期
 2017年(平成29年)2017年3月14日(火)から5月21日(日)まで
休館日 月曜日・3月21日(火)[ただし3月20日(月・祝)、3月27日(月)、4月3日(月)、5月1日(月)は開館]
会場 東京国立近代美術館
観覧料 一般1400円(1200円)大学生1000円(800円)高校生500円(300円)中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金。

 

 

 

 


 

楽家十五代の楽吉左衞門さん。背景に並ぶ茶碗は、吉左衞門さんの作品。




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