アート

Posted on 2017-04-07
【レビュー】ヨーロッパ絵画の主要流派を網羅 「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」


美術展会場の入口

オールドマスター:ルネサンス~18世紀頃のヨーロッパの巨匠
「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中です(会期:2017年(平成29年)3月18日(土)から6月18日(日)まで)。

エルミタージュ美術館は、ロシア帝政時代の首都サンクトペテルブルクにあり、1万7000点に及ぶ絵画コレクションを誇っています。特に充実しているのは、16世紀ルネサンスから17、18世紀のバロックおよびロココのオールドマスターの作品です。

オールドマスター(Old Master)とは、ルネサンスから18世紀頃までに活躍したヨーロッパの画家たちを指します。16世紀ルネサンス時代のティツィアーノ、クラーナハなどから17世紀バロックのレンブラント、ルーベンス、ヴァン・ダイク、18世紀ロココのヴァトー、ブーシュなどに至る巨匠たちです。(ただし場合によっては、ルネサンス以前の画家や19世紀前半の画家を指すこともあり、定義には幅があります。)

エルミタージュ美術館は、女帝エカテリーナ2世(在位:1762年~1796年、34年間)が、1764年にベルリンの実業家から317点の絵画を取得したのが始まりです。親しい人々にこれらの美術品を見せる場所を作り、そこをエルミタージュ(フランス語で「隠れ家」の意味)と呼びました。

エカテリーナ2世は、国内外の目利きの助言を参考に収集を進め、在位中に収集した絵画作品は約2500点と言われています。その後の歴代皇帝も美術品収集を続け、エルミタージュ美術館は現在、世界でも類を見ない質と規模を誇っています。

今回の「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」は、名画85点を国別に6章構成(1イタリア、2オランダ、3フランドル、4スペイン、5フランス、6ドイツ・イギリス)で展示しています。主な作品を列挙してみます。

《羽根飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 1538年 イタリア)

《運命を悟るハマン》(レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 1660年代前半 オランダ)

《田園風景》(ぺーテル・パウル・ルーベンスと工房 1638 – 1640年頃 フランドル)

《聖母マリアの少女時代》(フランシスコ・デ・スルバラン 1660年頃 スペイン)

《トビアと天使のいる風景》(クロード・ロラン 1663年 フランス)

《林檎の木の下の聖母子》(ルカス・クラーナハ 1530年頃 ドイツ)

どれもが美術史に燦然と輝くオールドマスターの名画です。素描や資料はほとんどなく、始めから終わりまで、巨匠たちの傑作が堪能できます。国別に紹介されていますから、美術史の勉強にも非常に参考になる展示構成です。

私は日曜日に見に行きましたが、超目玉作品をフューチャーした展示構成になっていないせいか、会場はそれほど混んでおらず、心ゆくまで絵画鑑賞を楽しむことができました。絵画が好きな人、美術史が好きな人にとっては、穴場的な美術展だと思います。

なお、本展覧会は東京での開催後、名古屋、神戸で巡回開催されます。

大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
東京展
会期
 2017年(平成29年)3月18日(土)から6月18日(日)まで ※ただし、5月15日(月)は休館日
会場 森アーツセンターギャラリー
観覧料 一般1600円(1400円)、大学生1300円(1100円)、中高生800円(600円)、小学生以下無料
※( )内の料金は15人以上の団体料金

〈巡回情報〉
名古屋展
会期
 2017年7月1日(土)-9月18日(月・祝)
会場 愛知県美術館
神戸展
会期
 2017年10月3日(火)-2018年1月14日(日)
会場 兵庫県立美術館




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