アート

Posted on 2017-04-11
【レビュー】「茶の湯」のスーパースターたちの美意識に触れる


 


東京国立博物館で37年ぶりの展覧会
日本における喫茶の長い歴史的な積み重ねが、いつしか「茶の湯」として固有の文化にまで高められてきました。日本が世界に誇る文化のひとつ「茶の湯」をテーマにした大規模な展覧会、特別展「茶の湯」が、東京国立博物館の平成館で開催中です(会期:2017年4月11日から6月4日まで)。

東京国立博物館では昭和55年(1980年)に、茶の湯の世界を紹介した「茶の美術」展が開催されました。意外に思われるかもしれませんが、茶の湯は長い歴史を持っているにもかかわらず、それ以前には茶の湯に正面から向き合った大規模な展覧会は開かれていませんでした。「茶の美術」展は、茶の湯で賞玩される様々な美術を、絵画、書跡、陶磁、金工などの枠を超えて、茶の美術として捉えて開催された画期的な展覧会でした。

それから37年の時を経て、特別展「茶の湯」が開催されることになりました。37年の月日が物語るように、これほど大規模な茶の湯の展覧会を開くのは、極めて大変なことです。

今回の展覧会は「創造」というキーワードのもと、会場を5章のセクションに分けて展開されています。

第1章足利将軍家の茶湯
第2章 侘茶の誕生
第3章 侘茶の大成
第4章 古典復興
第5章 新たな創造

室町時代の将軍家の「茶の湯」に始まり、「茶の湯」の大成者千利休、古田綾部、古典再興の礎を築いた小堀遠州や松平不昧(ふまい)、そして近代の数寄者(益田鈍翁(どんのう)、原三渓など)といった、茶の湯のスーパースターたちの美意識に触れることができます。

国宝や重要文化財の茶器や絵画だけでなく、日本にある貴重な中国茶器や朝鮮の茶器も勢揃いです。茶の湯に関心がある人だけでなく、中国絵画やアジアの歴史に関心がある人にとっても、大変に見応えのある内容です。前回から今回の展覧会まで37年の年月がかかっていることを考えると、これほどの大規模な茶の湯の展覧会が次に開かれるのは30年後かもしれません。

東京・竹橋の国立近代美術館では「茶碗の中の宇宙展」が開催中で、千利休が愛した長次郞の作品などが展示されています。東京国立博物館の「茶の湯」展でも長次郞の作品が展示されており、両展の作品を見ることで、長次郞や千利休についての鑑賞が一層深まるでしょう。

特別展「茶の湯」
会期
 2017年(平成29年)4月11日(火)から6月4日(日)まで
会場 東京国立博物館 平成館
観覧料 一般1600円(1300円)、大学生1200円(900円)、高校生900円(600円)、中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金。

特別展示の燕庵の実物大模型は撮影可能です




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