アート

Posted on 2017-07-14
【レビュー】[特別展]没後50年記念 川端龍子 ― 超ド級の日本画 ―


「会場芸術」と呼ぶ大画面絵画
こんな“規格外”の画家が日本にいたのか?!というのが、会場で作品を見たときの印象です。

そもそも川端龍子という名前、龍子を「りゅうし」ではなく「たつこ」と読んで女性の画家だと思っていた人も少なくないでしょう。

川端龍子は晩年、横山大観や河合玉堂とともに展覧会を開くなど、大家と呼ぶにふさわしい活躍をした画家でした。

それにもかかわらず、横山大観らに比べて知名度が低いのは、院展を脱退後、在野で活躍していたということがあったのかもしれません。

川端龍子は生前、自分のための美術館が自ら設計し開館させました。昭和37年のことです。現在は、大田区立龍子記念館となって、一般公開しています。

画家が自分の作品を収蔵するための美術館を建設したのは、これが初めてのケースです。

画家の中には、岡本太郎のように現在、記念館が建てられ運営されているものがありますが、これらは画家が亡くなったあと遺族が建設したものです。

この美術館建設ひとつをとっても、川端龍子がいかにほかの画家とは違った考え方を持って、芸術に向かい合っていかたが伺えます。

龍子は、絵画を見たいと言う大衆の欲求を満たすことを強く意識していました。

それは「会場芸術」と呼ぶ大画面絵画の根幹にあった考え方でした。

龍子が大衆の欲求を満たすことを重視していたのは、読者ということを常に念頭に置いて作られていた、新聞や雑誌への挿絵や出版物の仕事をしていたことに関係があると考えられています。

また、龍子は生涯を通して依頼された作品の納期は厳守する姿勢を貫いていて、それも新聞や雑誌など締め切りがシビアな世界で仕事をしていたこととも関係があるでしょう。

大正から昭和にかけて、既存の日本画本語の枠組みを打ち破ろうと、在野の雄として活動を続けた川端龍子。

今回の展覧会は、あまり広くは知られてはいない、彼の画業と人生を改めて知ることができる貴重な機会です。
(TEXT/PHOTO Media & Communication編集部 蓬田修一)

[特別展]没後50年記念 川端龍子 ― 超ド級の日本画 ―
会期
 2017年(平成29年)6月24日(土)から8月20日(日)まで
*会期中、一部展示替えあり(前期:6/24~7/23、後期:7/25-8/20)
会場 山種美術館
入館料 一般1200円(1000円)、大高生900円(800円)、中学生以下無料
※( )内の料金は20人以上の団体料金

写真はいずれも、6月26日に行われたプレス内覧会で撮影した会場のもようです。

 

 

 




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