アート

Posted on 2017-11-14
【映画レビュー】「ジャコメッティ 最後の肖像」天才芸術家の苦悩を再現




左がロード、右がジャコメッティ。背景となっているジャコメッティのアトリエの様子も大きな見どころだ
©Final Portrait Commissioning Limited 2016


描くほどに苦悩し暴発するジャコメッティ
2017年夏、東京の国立新美術館での開催でおよそ14万人の観客を動員した大回顧展「ジャコメッティ展」。10月14日から12月24日までは豊田市美術館で巡回開催中されています。

ジャコメッティは没後50年を過ぎてなお、人々の関心をつかんで離さない芸術家です。

そんな彼の映画「ジャコメッティ 最後の肖像」が2018年(平成30年)1月5日よりロードショーされます。

本作品は、アメリカ人の作家で美術評論家のジェイムズ・ロードの回顧録「ジャコメッティの肖像」(みすず書房)を原作に「プラダを着た悪魔」「ラブリーボーン」などで名声を確立した性格俳優のスタンリー・トゥッチが脚色・監督したものです。

1964年のパリで、ジャコメッティに「肖像画のモデルになってほしい」と声を掛けられ、憧れの作家直々の指名に名誉と好奇心を感じたロードが18日間体験した出来事がストーリーとなっています。

描くほどに苦悩し暴発するジャコメッティと、そんな彼に翻弄されつつも創作過程と日々の出来事を尊敬の念で観察するロードの奇妙な関係が再現されています。

ジャコメッティの創作活動を支える弟のディエゴ、妻のアネット、愛人のカロリーヌ、日本人哲学者の矢内原伊作が織りなす人間模様も描かれています。

ジャコメッティは彫刻家として有名ですが、日常的にデッサンを描き、肖像画などの油彩作品の制作も精力的に行っていました。

原作書籍に掲載されているジャコメッティやロードの写真を憶えている人は、映画の登場人物がそっくりで、きっと驚くことでしょう。

撮影に使われたアトリエは、資料をもとにかなり忠実に再現されたものです。

アトリエ内の作品に関してもジャコメッティ財団が確認するなど、信憑性が確保されているので、リアルで臨場感があります。

周囲を翻弄しながらも、愛すべき側面を持つジャコメッティの人間味が感じられる映画です。


ジャコメッティに扮するのは『シャイン』のアカデミー賞俳優、ジェフリー・ラッシュ。特殊メイクとダボダボの衣装でジャコメッティそのものに変身し、天才作家を熱演
©Final Portrait Commissioning Limited 2016



後に美術評論家になる若き青年ロード役を演じるアーミー・ハマー。ハマー自身も、石油王でその名を冠した美術館がある曾祖父を持つ、筋金入りの美術愛好家
©Final Portrait Commissioning Limited 2016




『ジャコメッティ 最後の肖像』
監督・脚本:スタンリー・トゥッチ 
出演:ジェフリー・ラッシュ、アーミー・ハマー、クレマンス・ポエジー、トニー・シャルーブ、シルヴィー・テステュー
2018年1月5日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
原題:Final Portrait
配給:キノフィルムズ



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