アート

Posted on 2017-12-02
【美術展レビュー】上野恩賜公園の林に200匹のダンボール犬 「DOGTokyo2017」




秋晴れの休日、公園を訪れた人々は林に突然出没したダンボール犬に興味津々。撮影したり、メッセージを読んだりしていた。


私たちの価値観にさりげなく挑戦する公共アート展
秋深まる上野恩賜公園の噴水広場横の林の中に、ダンボールで作られた200匹の犬が展示されました。

これは、イギリスを中心に国際的に活躍する現代アート作家、高山あかねさんによるインスタレーションアート展「DOGTokyo2017」です(会期:2017年11月18日・19日)。

高山さんは「もしも段ボールの犬が街角に何十匹も置いてあって、そのそばに『この犬を拾って下さい』という看板が立っていたら、街の人たちはどう反応するんだろう、というアイデアを思い付いたのが、このインスタレーションをすることになった、そもそものきっかけでした」と創作した経緯を話します。

この作品の特徴は3つあります。

ひとつは、高山さんの言葉にあるように、作品を見た人は展示されている犬を持って帰れること。

「展示品を持って帰っていい」と言われたら、多くの人はちょっとびっくりしますよね。

展示作品は当然、持って帰れないもの。そうした従来の美術展の価値観に、高山さんの作品は一石を投じています。

このインスタレーションはこれまでイギリスでも行われ、そのときは20~30代の男女が喜んで持って帰ったそうです。

ふたつ目は、アートの一般的な概念への問いかけです。

通常、アート作品は高価であり、貴重なもので、お金を払って見に行き、触ったりできないものです。

しかし、この犬の作品はアート作品であるものの、段ボールで作られていて、材料的には決して高価なものではありません。

また、美術館に行かなくても、誰もが見られるように、公園という公共の場所を会場に選びました。

そして、3つめはコミュニティを巻き込んでいることです。

日本とイギリスそれぞれ3校の小学生、合わせて250人に、将来どんな社会に住みたいかを書いてもらい、そのメッセージカードを1匹1匹に付けました。

さらに、ソーシャルメディアを活用した社会的な広がりも想定します。

作品を持ち帰った人が、思い思いの場所に置いた犬を撮影してソーシャルメディアに投稿することで、会期後もネット空間に犬の作品が存在し続けることになります。

外観上は段ボールの犬の展示ですが、私たちの価値観にさりげなく挑戦するインスタレーション作品になっていて、とても興味深い展示でした。
(TEXT/PHOTO 宮川由紀子)


落ち葉が積もる地面の上に展示されるダンボールの犬。散歩に連れて来たもらった犬も一緒に鑑賞? 




頭の後ろにはメッセージカードがあり、観客は自由に取って読むことができる。頭が小さくてつぶらな瞳、従順な狩猟犬を思わせる。



作者の高山あかねさん。 




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