アート

Posted on 2018-10-27
【美術展レビュー】「生誕110年 東山魁夷展」“描くことは祈ること” 東山芸術の神髄に触れる






唐招提寺御影堂障壁画を再現
東山魁夷は明治41年(1908年)、横浜に生まれました。東京美術学校(現在の東京芸術大学)で日本画を学びます。その後、約2年間ドイツへ留学しました。

昭和20年(1945年)7月、37歳の時に召集され、東部第80部隊(千葉県柏市)に入隊します。その後、熊本の部隊に配属され、迫撃兵二等兵として対戦車攻撃の訓練を受けました。

9月に召集解除。山梨県巨摩郡落合村に落ち着きます。12月、妻を山梨に残して上京。千葉県市川市の知人宅に仮寓して、制作を再開しました。

戦後は主に日展を舞台に作品を発表。昭和31年(1956年)日本芸術院賞受賞。昭和44年(1969年)文化勲章を受章します。

今回の展覧会では、戦後に風景画家としての評価を確立した《残照》《道》をはじめ、ヨーロッパの風景画、京都の四季を描き出した「京洛四季」シリーズ、そして東山芸術の集大成と言われる奈良の唐招提寺御影堂障壁画など、厳選された本画68点、習作やスケッチ45点を紹介しています。

会場は6章で構成されています。

第1章 国民的風景画家
第2章 北欧を描く
第3章 古都を描く・京都
第4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア
第5章 唐招提寺御影堂障壁画 間奏 白い馬の見える風景
第6章 心を映す風景画

会場は、第1章から順に作品を見て行く順路でレイアウトされています。すべての作品が素晴らしいのはもちろんですが、圧巻は第5章でしょう。

広い展示スペースを使って、唐招提寺御影堂障壁画の襖絵と床貼付画全68面を再現して展示しています。

東山魁夷にとって描くこととは「祈る」ことでした。次の言葉は、彼が昭和55年(1980年)に関西学院で行った講演会での内容です。

「私自身、絵を描くのが特にうまい方ではありませんし、上手に描こうとも思わないんです。私にとって絵を描くことが祈りであるとすれば、上手に祈るとか下手に祈るとかは問題ではないと思います。心が籠もるか籠もらないか、それが問題だと思うんです。」

今回の展覧会には、昭和16年(1941年)から平成11年(1999年)までの、東山魁夷の作品が展示されています。それらの作品に接することで、描くこととは「祈り」であった東山魁夷の真髄に触れることができるでしょう 。


生誕110年 東山魁夷展
会期
 2018年(平成30年)10月24日(水)から12月3日(月)まで
会場 国立新美術館 企画展示室2E
観覧料 一般1600円(1400円)、大学生1200円(1000円)、高校生800円(600円)、中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金
※11月23、24、25日は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)


 



 



 



 



 



 



 







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