アート

Posted on 2018-12-24
「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」豊かな想像力と奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の魅力を紹介


伊藤若冲 《紫陽花双鶏図》 絹本着色 一幅 139.4×85.1cm 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション 


現代の目を通した新しい「奇想の系譜」を発信
美術史家、辻惟雄(1932年(昭和7年)~)が、今から半世紀近く前の1970年(昭和45年)に著した「奇想の系譜」。そこに紹介されたのは、日本美術の因襲の殻を打ち破り、意表をつく自由で斬新な発想で非日常的な世界に誘われる絵画の数々でした。

それから半世紀近く経た現在、かつては江戸時代絵画史の傍流とされてきたそうした絵画が、現代にも通じる革新性によって人気を集めています。

今回の展覧会は、「奇想の系譜」で取り上げられた6人の画家、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳のほか、さらに白隠慧鶴(はくいんえかく)、鈴木其一(すずききいつ)を加えた8人の代表作を一堂に会し、豊かな想像力、奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の魅力を紹介するものです。

主催者は「8名それぞれの画家の作品を厳選し、近年の若冲ブーム、江戸絵画ブームひいては日本美術ブームの実相をご存知の方にも、またこの展覧会で初めて、それらの魅力的な作品に出会うことになる方にも満足していただける内容を目指しました」とコメントしています。

8人の画家について紹介しましょう。

伊藤若冲
京都の青物問屋の長男として生まれました。
40歳で家督を弟に譲り、画業に専念。写実と幻想を巧みに融合させ、濃密な色彩を使い、精緻に描かれた花鳥画から、墨の濃淡を自在に操り確かな画力を駆使して描かれた水墨画まで、個性的で多彩な作品を数多く残しています。

曽我蕭白
京都の商家に生まれ、伊勢や播磨を放浪した後、40歳を過ぎて京都に定住。18世紀京都画壇の奇才たちの中でも、最も激烈な表現を指向しました。
漢画を学び、中国の仙人や聖人といった伝統的な故事を多く描いているが、その表現は独創的で狂気に満ち、ときに見るものの神経を逆なでし、混沌の渦へと陥れます。

長沢芦雪
京都・篠山の下級武士の子として生まれました。
大胆な構図と才気溢れる奔放な筆法で独自の画境を切り開き、エンターティナー的な遊び心ある個性的な作品を多数残しています。

岩佐又兵衛
戦国武将、荒木村重の子として生まれ、一族の滅亡後、母方の岩佐性を名乗り、京都で絵師として活動を始めます。
北庄(福井市)に移住し、二十余年を過ごした後、寛永14年(1637年)三代将軍徳川家光の娘、千代姫の婚礼調度制作を命じられ、江戸に移り住み、そこで波乱に満ちた生涯を終えました。
大和絵と漢画双方の高度な技術を完璧に修得し、どの流派にも属さない個性的な感覚に長け、後の絵師に大きな影響を与えました。

狩野山雪
九州肥前国の生まれ。京狩野の狩野山楽に16歳の頃弟子入りし、その後婿養子となります。
妙心寺など京都の大寺院のための作画を多く残しました。
伝統的な画題を独自の視点で再解釈し、垂直や水平、二等辺三角形を強調した理知的な幾何学構図で知られます。

鈴木其一
尾形光琳に私淑した江戸琳派の祖、酒井抱一の忠実な弟子としてしばしば代作も務めるほどでしたが、抱一が亡くなると個性的な作風に傾斜していきました。
自然の景物を人工的に再構成する画風は抱一の瀟洒な描写とは一線を画し、その奇想ぶりが近年急速に再評価されつつあります。

白隠慧鶴
臨済宗中興の祖と呼ばれる禅僧。駿州原宿(現在の沼津市)に生まれ、15歳のときに出家。
「不立文字(言葉に頼るな)」といわれる禅宗において、夥しい数の禅画や墨跡を残しています。
職業画家ではない、仏の教えを伝える手段として描かれた、一見ユーモラスで軽妙かつ大胆な書画は蕭白、芦雪、若冲など18世紀京都画壇・奇想の画家の起爆剤となりました。

歌川国芳
江戸本銀町生まれ。役者絵の国貞、風景画の広重と並び、武者絵の国芳として、第一任者となりました。
戯画、美人画、洋風風景画にも発想の豊かな近代感覚を取り込む一方、役者絵や風刺画など、幕府の取り締まりをかいくぐり、機知に富んだ作品で庶民の支持を得ました。

奇想の系譜展
江戸絵画ミラクルワールド
会期
 2019年(平成31年)2月9日(土)から4月7日(日)まで
会場 東京都美術館
観覧料 一般1600円(1400円)、大学生・専門学校生1300円(1100円)、高校生
800円(600円)、65歳以上1000円(800円)、中学生以下無料
※カッコ内は前売および20人以上の団体料金
※2月20日(水)、3月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の人は無料。そのため混雑が予想されます。
問い合わせ先 TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

曽我蕭白 《雪山童子図》 紙本着色 一幅 169.8×124.8cm 三重・継松寺 

長沢芦雪 《白象黒牛図屏風》(右隻) 紙本墨画 六曲一双 各155.3×359.0cm 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション 

 同上(左隻) 

鈴木其一 《百鳥百獣図》(右幅) 絹本着色 双幅 各138.0×70.7cm 天保14年(1843) 米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション 

 同上(左幅) 




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締め切りは、2019年(平成31年)2月8日24時です。

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