アート / 歴史

Posted on 2012-09-18
東京国立博物館 東洋館が2013年1月2日リニューアルオープン。4大コレクションを公開


東洋館外観


 Writer:宮川由紀子

耐震改修工事のため2009年より休館していた東京国立博物館の東洋館が、2013年1月2日に新装開館することになりました。

昭和43年に開館した東洋館(アジアギャラリー)は、谷口吉郎設計による地上5階地下1階建の建物です。今回の改修工事により、地震に強い建物になったばかりでなく、より見やすく、理解が深まる構成にリニューアルされました。

展示室が増え、これまで限定公開しかできなかった「クメールの彫刻」や「インドの細密画」「清時代の工芸」にも、専用の展示コーナーが設けられました。美術を生み出した背景に迫る「中国文人の書斎」や「朝鮮時代の美術」も新設されています。

展示ケースには低反射ガラスを用いるとともに、LED照明を使用し、美しさと見やすさを実現。展示室の案内表示や作品名称などは4か国語で表記するとともに、映像資料なども用いて、作品への理解がより深まる工夫がされています。

中央の吹き抜けには新たにエレベーターを設置して、車椅子を利用する人でも、目当ての展示室にすぐに行けるバリアフリーなデザインです。

展示のコンセプトは東洋美術をめぐる旅。アジア世界を網羅する充実のコレクションで、来館者を極上の文化の旅にいざないます。

◆世界有数のコレクション

東洋館のコレクションの総数は2万件にのぼり、その幅と質の高さにおいて国内髄一です。中でも、中国の宋・元時代の書画、中国陶磁、中国漆工、西域美術に関しては世界でも有数のコレクションといえます。

1月のリニューアルオープン時の4大コレクションの内容は次のとおりです。

<中国の絵画・中国の書跡>
中国の書画は日本美術の発展の手本になってきましたが、その中でも最高峰とされるのが宋元時代の書画です。
それらは中国で学んで帰国した僧侶や近世の交易活動などによって、日本にもたらされたものでした。
中には中国ではすでになくなってしまった貴重な作例もあります。
東洋館の中国書画は、足利将軍家が収集した束山御物などの宋元画を中心に、世界の博物館でも他に例を見ない、日本と中国の長い交流によって育まれた珠玉のコレクションとなっています。

<中国の陶磁>
昭和7年から7回にわたり、建築家の横河民輔によって1100点余の東洋陶磁が寄贈されました。
なかでも中国陶磁はきわめて質が高く、日本を代表するコレクションとして世界に名を知られています。
それからおよそ80年。こうした古く歴史ある収蔵品を礎にして、中国陶磁コレクションはいまも前進をつづけています。
充実した中国陶磁コレクションに加え、新しい東洋館では陶片、窯道具も展示予定です。

<中国の漆工>
中国の漆工は新石器時代にさかのぼる歴史をもちます。
その装飾技法として、塗り重ねた漆を彫刻する彫漆、貝殻を成形して貼付する螺鈿、漆器に文様を彫って金を充填するそう金、文様部を色漆であらわし線彫りの輪郭をほどこす存星などがあります。
文様も、山水・花鳥・楼閣・人物などの絵画的文様や、唐草文様が発達した屈輪のほか、黒漆や朱漆のみで器形を美しく表現する無文漆器などがあります。多種多様な中国漆工の世界が一望できます。

<西域の美術>
中国の玉門関より西、タクラマカン砂漠の南北に点在するトルファン、クチャ、ホータンなどは、かつて仏教寺院が建ち並び、ラクダに荷を乗せた隊商が停泊するオアシスでした。
19世紀、これらの地に仏教の源流を求める目的で探検したのが大谷光瑞です。
この西域コレクションはほぼ大谷探検隊がもたらしたものです。
玄奘三蔵をはじめとする多くの僧、商人が往来した地域の遺品を見ることができる大変興味深い展示室です。

国宝 紅白芙蓉図(対幅のうち1幅) 李迪筆 南宋時代・慶元3年(1197)
東京国立博物館蔵


李迪は南宋の宮廷画家。時間の経過とともに色を変化させる芙蓉を描き、東洋画の写実主義の頂点に位置する作品です。
(展示期間:2013年1月2日から1月27日まで、8室で)

重要文化財 青磁輪花鉢 南宋官窯 南宋時代・12~13世紀
横河民輔氏寄贈 東京国立博物館蔵


光によって限りなく変化する深遠な青磁の釉色は、宋官窯の器が持つ大きな魅力です。
(展示期間:2013年1月2日から5月6日まで、5室で)

重要文化財 三彩貼花龍耳瓶 唐時代・8世紀
横河民輔氏寄贈 東京国立博物館蔵


華やかな色彩と西方の影響を匂わす独特の器形が目をひきます。名品と名高い唐三彩の作品です。
(展示期間:2013年1月2日から5月6日まで、5室で)

東京国立博物館


■■東京国立博物館 総合文化展 招待券プレゼント
招待券プレゼントへの応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。■■

東洋館リニューアルオープンを記念し、東洋館にも入館できる東京国立博物館 総合文化展の無料招待券を、抽選で5組10名様にプレゼントします。

以下のフォームよりご応募ください。

応募受付の締切は2012年12月29日24時です。

※Media & Communication のプライバシー・ポリシーはこちらをご覧ください。
プライバシー・ポリシー

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    郵便番号・ご住所 (必須)

    本サイトの、東洋館リニューアルオープン の記事へは、どのような経路で来ましたか?(例:検索エンジンで、ツイッターで、本サイトの関連記事で、他サイトのリンクから など) (任意)

    東洋館や、東京国立博物館への思いなどがありましたら、お書き下さい (任意)

    当サイトMedia & Communicationに、ご要望・ご感想などがありましたら、お書き下さい (任意)


    Tags:
    Posted in アート, 歴史 | Comments Closed

    Related Posts