メディア、コミュニケーション、広告、出版、アートという言葉に反応してしまう人へ。

Media & Communication

HOMESPECIAL_FEATURETOPICSNEWSLINKABOUTBLOG

世界最高峰のクリエイティブ 「D&AD賞2009」

2009年10月7日から11月14日まで、東京・汐留のアド・ミュージアム東京で、「D&AD賞2009展」が開かれています。
D&AD賞は、受賞基準が非常に厳しいことで定評のある、国際的なデザイン・広告賞です。
会場には、難関を突破した受賞作品が勢ぞろい。
会期中には学芸員によるミュージアムトークも開催されました。

[展示会場] ユニークな発想があふれる受賞作品!
会場には、世界最高峰のクリエイティブ作品が展示されています。
デザインやマーケティングを学ぶ学生の姿もたくさん見られるなど、多くの人が訪れています。



[ミュージアムトーク] 受賞作品を専門的な視点をまじえて紹介!
ミュージアムトークのようすです。(ムービーは、トーク冒頭部分の一部)
今年の「D&AD賞」の主な受賞作品などについて、学芸員の岩本紀子さんがお話ししました。



[インタビュー] 「D&AD賞」をもっと知ろう!
ミュージアムトークを行った学芸員の岩本紀子さんに「D&AD賞」について、お話をうかがいました。

−−「D&AD賞」の運営主体について教えてください。
岩本 1962年にイギリスで設立された国際的な非営利団体「D&AD」が、設立翌年から「D&AD賞」を設置し、授与しています。
D&ADとは、「デザイン」と「アートディレクション」を意味しています。
当初はデザインよりの傾向が強かったのですが、最近の受賞作品はビジネスや社会動向に結びついたソリューションも多くなりました。
「スチューデント・アワード」(=学生向けの広告賞)を実施するなど、教育活動や人材育成にも力を入れているのも、D&ADの特色です。

−−「D&AD賞」がほかの広告賞と違う点はどういうところですか?
岩本 授賞分野が、他の広告賞と比べて、とても広いことです。
広告コピーから、デザイン、アートディレクション、プロダクトデザイン、ミュージックビデオ、インスタレーションなど、非常に多岐にわたっています。
一例をあげると、空港のビジネスラウンジのデザインといった空間デザインに賞が与えらたこともありました。

−−受賞するのが、相当厳しいと聞いています。
岩本 ユニークな発想やアイデアが、いかにビジネスなどの課題を解決したのか、という点が受賞の大きなポイントになっています。
最高賞の「ブラックペンシル」は、審査基準が非常に厳しく、該当作品がない年もあるほどです。

−−クリエーターにとって、受賞は大きな誇りとなるでしょうね。
岩本 最高賞であるブラックペンシルは、クリエーターから非常に名誉な賞だと認められています。
「もっともほしい国際賞だ」と話すクリエーターもいます。

−−「カンヌ国際広告祭」など他の国際賞に比べて、認知度が低いと感じます。
岩本 確かにそういう面はあると思います。
カンヌ国際広告祭を「ポップミュージック」、D&AD賞を「オペラ」にたとえる人もいます。
メジャー路線のカンヌに対し、D&AD賞は玄人向けの賞だともいえるでしょう。

−−今年は、どんな作品が受賞しましたか?
岩本 最高賞の「ブラックペンシル」は、ニューヨーク市の100万人の生徒に、学習意欲をもたせるための携帯端末教育プログラム「ミリオン」や、ユダヤ系アメリカ人の若者たちが行ったオバマ支持の大統領キャンペーン「偉大なる転換」など、4件が選ばれました。
「ミリオン」を導入した学校では、2週間目に生徒の学習意欲や出席率の向上がみられたそうです。
生徒の眠っていた可能性を引き出したという点が、非常に高く評価されました。
「偉大なる転換」は、若者たちが、長年共和党支持だった、フロリダ州のユダヤ系お年寄りに、オバマ支持の若者がアプローチすることで、同州におけるオバマ勝利に結びつけたキャンペーンです。
オバマを支持する若者が、マケイン寄りのお年寄りとコミュニケーションするようすを、WEBで流すなどして、勝利に導きました。

−−日本からの出品作品の受賞状況はどうなのでしょうか?
岩本 受賞数は、イギリス、アメリカに次いで3番目です。
応募数に対して、受賞数の比率が高いのも特徴ですね。

−−日本の作品について、どう見ていますか?
岩本 日本のクリエイティブ作品(CMやポスターなど)は、カンヌでは受賞しにくいといわれてきました。
日本独特の感覚や雰囲気が、外国では理解されにくいのが主な原因です。
一方、D&AD賞では、いくつもの作品が受賞しています。
特にWEB分野は、ことばに頼らないコミュニケーション力と、日本の高い技術力が相乗された作品が受賞しました。
パッケージ作品も、日本古来の「包む」という伝統が、斬新なクリエイティブのなかにいかされたことが、審査員の評価につながったのかもしれません。
こうした作品が高い評価を受けるのも、D&AD賞ならではです。

−−今後もアド・ミュージアム東京では、「D&AD賞展」を開催していきますか?
岩本 次回は、2010年10月を予定しています。その後も、毎年10月に開催できるといいですね。
ユニークな発想やアイデアがあふれているD&AD賞の受賞作品を、ぜひ見に来てください。

アド・ミュージアム東京

(VIDEO,TEXT/よも修一)

Copyright (C) M&C Media and Communication. All Rights Reserved.