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Tokyo Art School 「オルタナティブ・スペースの歴史」

東京に足りないものを、アートの視点から考えてみようという「Tokyo Art School」の2回目のレクチャー「オルタナティブ・スペースの歴史」を聴講してきました。
「Tokyo Art School」は、都が行う「東京アートポイント計画」のレクチャー・シリーズで、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]と東京文化発信プロジェクト室が共催しています。
今回の講師は、江東区にあった「佐賀町エギジビットスペース」と、表参道にあった「東高現代美術館」という、日本の伝説的なオルタナティブ・スペースを生んだ小池一子さんと白石正美さんです。
オルタナティブ・スペースとは、画廊や美術館といった既成の枠組みでは捉えきれない美術の可能性を追求する、自由な表現空間を指します。
「佐賀町エキジビットスペース」の小池一子さんは、"同時代を生きるためのオルタナティブ"というテーマで、同スペースのオープンから幕を閉じる2000年までの軌跡を紹介。
「東高現代美術館」の白石正美さんは"アートの場を創る"というテーマで、現代アートの推進活動を語りました。さらにその後、ディスカッションと質疑応答が展開されました。



画廊や美術館には任せておけない。
小池さんは、今に比べれば格段に現代アートの発表の場が少なかった80年代に、歴史のあるビルの講堂を、自身の経営する企画デザイン事務所の資金から1000万円かけて改装し、オルタナティブ・スペースをつくりあげました。
「ふろしき画廊や権威主義の美術館には、任せておけないと思った。」
「財政的に苦しくても、それは承知で取り組んだ。」
という姿勢には、強さと美しさが感じられました。



「現代美術」から「現代アート」へ。
一方、白石さんはビルが建設される前に建てられた期間限定的な「東高現代美術館」で、3年間で18本のアート展を実施。開催費用はトータル8億円かかりましたが、雑誌をはじめ様々なメディアに展覧会が取り上げられ、その広告効果は20億円にも上ったそうです。
アートの力、恐るべしです。
PR展開に関する話は興味深かったです。
美術専門誌だけではなく、一般向けメディアにも積極的にニュースリリースを送付。美術に詳しくない記者や編集者でも理解できるように、ニュースリリースにはみどころポイントを紹介しました。
今では当たり前のことに思えますが、当時の現代美術界としては画期的なことでした。
「一般メディアに対してPR展開していくなかで、マイナーイメージがあった現代美術が、現代アートとして広まっていったのではないか」ということでした。
ぴあが79年に隔週刊になり、80年代後半にはHanako、オズマガジンなどが創刊され、雑誌が情報源として躍進していたことを思い出します。

展示スペースにかける想い。
お二人とも「この場所でしかできない作品」「この場所でだけ見られる展示」という意識を持って取り組んでいたことが分かりました。
空間すべてにこだわる茶道という文化をもつ日本人にとって「展示空間も含めた全体で考えるのは、自然なことなのでは」と小池さんは言います。
当時、アートにかかわる人たちは、発表したくても発表の場がない"閉塞状態"になっていました。
オルタナティブ・スペースが出てきたことによって、アーティストたちのパワーが一気に発散したといえるでしょう。

Tokyo Art School
http://a-i-t.net/modules/bulletin/article.php?storyid=142
http://www.bh-project.jp/artpoint/lecture/index.html

【概要】
時間:各回13:00〜16:00(開場12:30)
会場:ヒルサイドプラザ(東京都渋谷区猿楽町29-10)ほか都内各地
定員:各回100名(要予約・先着順)
入場料:各回一般1,000円、学生/AITメンバー800円 ※当日受付にて支払い
主催:東京都/東京文化発信プロジェクト室(財団法人東京都歴史文化財団) 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
協力:ヒルサイドテラスほか

【お申し込み方法】
下記のいずれかの方法でお申し込みください。
[1] https://bh-project.jp/artpoint/lectureform/よりオンラインにてお申し込み。
[2] 件名を「Tokyo Art School」とし、下記を明記の上、(03-3780-0266)へFAXでお申し込み。
1. お名前
2. 電話番号
3. メールアドレス
4. 住所
5. 一般 or 学生 or AITメンバー
詳細は「東京アートポイント計画」のウェブサイトをご覧ください。http://www.bh-project.jp/artpoint/lecture/index.html

(VIDEO,TEXT/宮川由紀子)

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