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「開国博Y150」 市民力の可能性を探る実験の場。

横浜開港150周年を記念して開かれている「開国博Y150」(会期=2009.4.28〜9.27)。
1859年の開港以来、横浜は近代以降の日本に、大きな役割をはたしてきました。
この博覧会では、横浜の魅力、歴史、未来を感じるための、さまざまなプログラムが毎日行われています。

「開国博Y150」を知るための重要キーワードが「市民創発」です。
企業や行政側だけが情報を発信するのではなく、市民が主役となりイベントに参加し、イベントをつくりあげています。
市民、企業、行政の社会とのかかわり方は、近年、劇的に変化しています。
「開国博Y150」は、これからの社会はどうあるべきか、その答をさぐる「壮大な実験の場」でもあるのです。


はじまりの森

さあ、会場へGO!
会場は、「ベイサイトエリア」「ヒルサイドエリア」「マザーポートエリア」で構成されています。
写真は、ベイサイドエリアのメインとなるエントランスです。
桜木町駅から汽車道をとおってくると、10分弱でこのエントランスに着きます。
以下で紹介する「ラ・マシン」「ピボ2」「スーパーハイビジョンシアター」は、ベイサイドエリアにあります。

みんな来てね!
財団法人横浜開港150周年協会、広報・宣伝部 報道課長の山口義裕氏からのメッセージです。


「ラ・マシン」巨大クモ
“生命のある機械”をコンセプトに活動するフランスの世界的アートスペクター劇団「ラ・マシン」の巨大クモ。
近くで見ると迫力満点です。
遠めに見ると、動きがとても滑らかですが、実際は足が地面に着くときなど「ガシャン、ガシャン」と音がして、とてもメカニックです。
足を広げると、想像以上の大きさに圧倒されます。
この日は、小学生たちがたくさん見に来ていたので、安全に配慮して、動きはおとなしめだったそうです。

どうしてクモなの?
・Y150の会場をクモの糸でつなぎ、横浜の夢をつむいでいく。
・「WEB=クモの巣」型ネットワーク社会のシンボル。
ラ・マシンの代表であるフランソワ・ドゥラロジェール氏は、このように語っています(Y150公式ガイドブックより)。


コンセプトカー「ピボ2」
東京モーターショーにも登場した、日産自動車のコンセプトカー「ピボ2」です。
「NISSAN Y150ドリームフロント PIVO LAB.」で見られます。
日産自動車は、グローバル本社のみなとみらい地区への移転を、当初の予定より1年はやめ、横浜開港150周年となる今年に完了させました。
同社は、1933年、横浜で設立しました。
生まれ故郷へ帰ってきたわけですね。
横浜とのつながりは、とても深いのです。


スーパーハイビジョンシアター

スーパーハイビジョンシアター
540インチ(畳50畳分)のスーパーハイビジョンスクリーンは、世界最大。
「生命のつながりと多様性」をテーマにした映像作品が、大迫力で楽しめます。


FUNEプロジェクト

横浜FUNEプロジェクト 未来への夢をのせて出航!
アーティスト・日比野克彦氏のプロデュースによる、市民参加型のイベントです。
横浜港にゆかりのある、実際の船をモチーフにしたダンボール製の船150艘を、市民1万7000人が、市内各所で製作。
会期閉幕直前の9月26日には、150艘目にできあがった船が「出航」する、特別イベントも行われます。
船は、日比野氏がプロデューサーとして参加しているだけに、どれもがとてもアート的。
イベント終了後は、一般の人たちがオーナーとなり、これらの船を所有することもできるのです。
一艘ほしい!!

ヒルサイドエリア

多方面から注目! 竹の建築
こちらの写真は、ヒルサイドエリアにある、「竹の海原」と呼ばれている、竹で作られた大屋根です。
横浜市内で育った孟宗竹を、市民が伐採しました。
会場全体で、約2万本の竹が使われています。
できあがったばかりの頃は青々としていましたが、時間がたったので茶色くなりました。

竹を使ったエコな建築物ということで、多方面から注目。
建築雑誌や環境をテーマにした雑誌などにも紹介されました。

ヒルサイドエリア

189もの市民創発プロジェクト!
「竹の海原」を下から見たところです。
市民スタッフ手作りのプロジェクトが、この場所をはじめ、各所で活発に展開中です。
その数、なんと189!
歴史、アート、地域文化などをテーマに、ワークショップやトークショー、体験イベントなど盛りだくさんな内容で、毎日行われています。


【取材を終えて(編集長 よも修一)】

150周年記念で何が残るのか?
横浜の開港50周年には横浜市開港記念会館ができ、100周年にはマリンタワーがつくられました。
開港の大きな節目には、建物(=ハード)がつくられていたわけです。
150周年に開かれた開国博では、ハードではなく、市民の力が結集されました。
会場内のあちこちで市民創発プロジェクトが行われ、多くの市民ボランティアが運営にかかわっています。
来場者は、自分と同じ社会での立ち位置で生活する彼らに触れることで、いま自分たちは何をするべきなのか、何ができるのか、それを考える「きっかけ」をつかむのです。

博覧会らしからぬ風景
わたしが印象深かったのは、ヒルサイドエリアです。
これまでの感覚でヒルサイドエリアへ行くと、「これが博覧会会場なの??」と驚くことになるでしょう。
会場内で目立つ建築物といえば、竹の海原だけ。
しかも、エコに配慮した非常にクリエイティブな建築ではありますが、都会で見られるような「立派」な建築というわけではありません。
エリア内には、水田があったり、芝生が広がっているだけの場所があったりと、これまでの博覧会会場の概念とは大きく離れています。
そのかわり、あふれているのは、約190にものぼる、市民による多彩なプロジェクトです。

博覧会の新スタイル
市民が「主役」の開国博。
イベント史の中で、新しい歴史を刻むことになるのでしょうか。
総合プロデューサーの小川巧記氏は、開国博を「都市を舞台にした巨大な実験場」と表現しています。
実験が成功に終わるのかどうかは、開国博にかかわったり、来場した市民の「意識の成熟」が決めることになるでしょう。
開国博は、博覧会の新しいスタイルを提示しているのです。

開国博Y150


(VIDEO,PHOTO/MIYAKAWA TEXT/YOMO)

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