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Posted on 2010-12-25
書評:「エンジンのないクルマ」が変える世界(大久保隆弘 著) を読んで




Writer:蓬田(よも)修一

2010年12月に開かれた「エコプロダクツ」で、電気自動車に始めて試乗した。

乗ったのは、三菱自動車のアイミーブ。
ちなみに、今市販されている国産EVは、三菱アイミーブと、日産リーフ。
日産リーフは、2010年12月20日に、市場に出たばかりだ。

アイミーブは、小さなクルマだ。
そこに4人で乗り込んだ。
後部座席に座った。
車内は、狭い。

EVの走行性能には、正直、期待していなかった。
環境にとってクリーンなクルマ。
その1点だけが、最大の価値だと思っていた(技術的にも、マーケティング的にも)。

しかしその考えは、アイミーブが動き出し、加速を始めた途端に、完全に裏切られた。

伸びのいい加速。
しかも思った以上に力強い。
これには同乗者も驚いていた。

加えて、室内は極めて静かだ。
エンジンがない、ということがどういうことか、室内の静寂を体感して、はっきり自覚できた。
エンジンを搭載していないので、停車時のアイドリングもない。
だから走っていても、停車していても、静かそのもの。

優れた加速性と静寂性。
これは乗ってみないとわからない。

「「エンジンのないクルマ」が変える世界」の筆者、大久保隆弘氏は、「EVのマーケティングにおいては、多くの試乗機会を設けて、消費者にこの異次元の感覚を体感してもらうべきである」と書く。

この点は強調して、し過ぎることはない。
試乗したあと、感動した消費者は、ほかの人へ話す。
あるいはブログやソーシャルメディアで拡散する。

それを聞いた人(あるいは読んだ人)が試乗して、また拡散する。
このバイラル的な広がりを戦略的に行う必要がある。

本書には、リチウムイオン電池、EV時代のものづくり、EVの競争戦略など、EVを経営・マーケティング視点から捉えた話題が、ポイントを押さえて記述されている。

日本は、EV産業のマーケティングで失敗は許されない。
本書には、その理由も分かりやすく書いてある。

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