アート

Posted on 2015-06-25
「蔡國強展:帰去来」横浜美術館



《壁撞き》2006年、 狼のレプリカ(99体)・ガラス、 サイズ可変
ドイツ銀行によるコミッション・ワーク The Deutsche Bank Collection
Photo by Jon Linkins, courtesy: Queensland Art Gallery | Gallery of Modern Art


2015年(平成27年)7月11日(土)から10月18日(日)まで、横浜美術館で「蔡國強展:帰去来」が開催されます。

蔡國強(ツァイ・グオチャン)は、1957年に中国福建省泉州市に生まれました。上海戯劇学院で舞台美術を学んだ後、1896年に来日。筑波大学に在籍し、創作活動を開始しました。日本滞在中に火薬の爆発による絵画を発展させ、国内外から注目を集めます。

日本での約9年間にわたる創作活動を経て、1995年以降はニューヨークに拠点を移し、創作活動を続けています。現在は、世界の現代美術界で最も活躍しているアーティストのひとりです。

2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督として花火を担当し、その様子は世界中に中継されました。

蔡は中国の文化、歴史、思想から着想を得ながら、火薬の絵画、独創的な花火、ランドアート、インスタレーションなど、多義的な視点による作品で、現代社会へ一石を投じてきました。

例えば、戦争や武器に用いられる火薬の爆発を絵画や花火という美術作品へ転じることによって、火薬の爆発力と平和利用の有効性の双方の視点を提示しました。近年は、子ども、自然、エコロジーなどにも意識を高めています。

今回の展覧会のタイトル「帰去来(ききょらい)」は、中国の詩人、陶淵明(とうえんめい)の代表作「帰去来辞(ききょらいのじ)」から引用しています。

官職を辞して故郷に帰り田園に生きる決意をした陶淵明は、己の正しい道に戻り、自然に身を委ねる自由な精神をこの詩でうたいました。

泉州市から日本を経てニューヨークへ渡り、華々しい活動を続ける蔡が、アーティストとして自由な創作を開始した日本という原点に戻るという意味がタイトルに示されています。また同時に、人間としての原点への問いも含まれています。

今回の展覧会では、日本初公開となる近年の代表作「壁撞(かべつ)き」が紹介されます。この作品は全長約40メートルの空間いっぱいに展示され、99匹の等身大の狼の群れで構成されます。

2006年にベルリンで発表されグッゲンハイム美術館(ニューヨーク、ビルバオ)、クイーンズランド州立美術館(ブリスベン)、上海当代芸術博物館などで話題をさらいました。

また、横浜の風景や日本の美などに取材した大規模な火薬による平面作品も登場します。これは“爆発のアーティスト”とも称される蔡が、横浜美術館のグランドギャラリー(エントランス)で、大掛かりな爆発をともない制作した火薬ドローイングです。

さらに地元の横浜美術大学と共同で制作した、テラコッタによる大型インスタレーションも見逃せません。

蔡の作品は動植物に象徴される自然と人間との共生、複雑な社会における人間性の問いかけなど、様々な読み方を促してくれます。見る人にとって新たな驚きと発見をもたらしてくれる蔡の世界。今年の夏、見逃せない展覧会となるでしょう。

蔡國強展:帰去来
会場
 横浜美術館
会期 2015年(平成27年)7月11日(土)から10月18日(日)まで
入館料 観覧料 一般1500円(1300円/1400円)、大学・高校生900円(700円/800円) 、中学生600円(400円/500円)、小学生以下無料
※( )内は前売/20人以上の団体料金
※前売券の販売期間は2015年7月10日(金)まで

《藤蔓》2014年、火薬・陶・鉄、サイズ可変、作家蔵(参考図版)
Photo by Wen-You Cai, courtesy Cai Studio


《春夏秋冬》より(部分)2014年、火薬・磁器、作家蔵
Commissioned by the Power Station of Art, Shanghai.
Photo by Zhang Feiyu, courtesy Cai Studio


蔡國強 Cai Guo-Qiang
Photo by Wen-You Cai, courtesy Cai Studio




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締め切りは、2015年(平成27年)7月10日24時です。

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