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Posted on 2026-01-17
豪華絢爛ながら敬虔な気持ちにさせる作品 ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ
2026/1/20
M&C編集部
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(Gentile da Fabriano、 1360年/70年頃から1427年)はイタリア中部のファブリアーノで生まれた。
故郷のファブリアーノをはじめ、ガレシア、フィレンツェ、シエーナ、ローマとイタリア各地で活躍し、ローマで亡くなった。
ヨーロッパ各地に流行した国際ゴシック様式を代表する画家のひとりであり、同様式の火付け役でもある。
国際ゴシック様式とは、静的かつ厳粛なフォルムの人体表現、金彩を施し、原色を積極的に盛り込んだ華やかな色彩表現、衣服や草花などの細密表現などを特色とする。
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノが生きた15世紀初頭はルネッサンス運動が誕生した時期でもある。
彼はゴシックとルネッサンスとを橋渡しした画家ともいえる。
それではジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの主要作品を鑑賞みてみよう。
二人の聖人と寄進者のいる聖母子
1395年~1400年頃
板にテンペラ、金
131cm×113cm
絵画館 (ベルリン)
中央に聖母が玉座に座り、幼子イエスを抱く。聖母の足元には草花が生い茂る。
左は聖人ミラのニコラオス(サンタクロースのモデルとなった聖人)、右には聖人アレクサンドリアのカタリナが立つ(彼女の手には殉教を示すパームがある)。
手前で小さく跪くのが寄進者だ。
ヴァッレ・ロミータの多翼祭壇画
1410~1412年頃
板上にテンペラと金
280cm×250cm
ブレラ美術館(ミラノ)
フィレンツェのウフィツィ美術館にある「東方三博士の礼拝」と並んで、ジェンティーレ作品としても、また国際ゴシック様式作品としても重要作品のひとつであるが、制作背景などについては確かなことはまったく分からない。
謎多き作品であり、それだけ鑑賞者は思い思いに謎解きする楽しみがあると言える。
今後の研究成果を待ちたい。
聖痕を受ける聖フランチェスコ
1420年頃
板上に油彩とテンペラ
87cm×64cm
マニャーニ・ロッカ財団(パルマ)
右上にキリストが宙に浮かび、ビームのような光線を発している。
ビームはフランチェスコの体に、キリストが十字架上でついた傷と同じ傷を刻む。
聖母戴冠
1420年頃
板上にテンペラと金
87.5cm×64cm
J・ポール・ゲッティ美術館(ロサンゼルス)
イエスは母親マリアの死後、天上界でマリアを「天の女王」として戴冠した。
聖書には直接書かれていないエピソードだが、ルネッサンス期には好んで描かれた。
謙遜の聖母
1420~1423年
板上にテンペラ
56cm×41cm
サン・マッテオ国立美術館(ピサ)
聖母マリアは地面に敷かれたクッションの上に座っている。「謙遜の聖母」と呼ばれるこの構図は、15世紀初頭の西洋絵画でよく描かれた。
幼子イエス・キリストは豪華に装飾された金色の布の上で横になり、厳かな雰囲気を漂わす。
マリアはイエスを膝の上にのせ、敬虔な仕草をみせている。
東方三博士の礼拝

1423年頃
板上にテンペラと金、銀
173cm×220cm
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの最高の作品と見なされており、同時に「国際ゴシック絵画の集大成作品」との評価がされている。
板絵中央は、三博士が聖母とイエスに礼拝している場面だ。博士一行は犬、馬、猿、ヒョウを引き連れている。
聖母の背後には豪華な衣装をつけた2人の産婆がいる。
下部には3枚の絵があり、左が「キリストの降誕」、中央は「エジプトへの逃避」、右は「キリストの神殿奉献」が描かれている。
聖ユリアヌスと聖ラウレンティウスのいる聖母子
1423年~1425年頃
板上にテンペラと金箔
170cm×61cm
フリック・コレクション(ニューヨーク)
左側が聖ラウレンティウス、右側が聖ユリアヌスである。
聖母マリアが座る玉座の大きな赤い布が、4人を包み込んでいるようである。
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