アート

Posted on 2021-06-13
国籍、年齢、障害の有無、美術の枠組みさえも飛び越える創作



ユリア・クラウゼ=ハーダー 《Juravenator》 2013年 ミクストメディア 51×40×104cm
Foto: Atelier Goldstein 


世界22カ国より50名の作家の作品240点あまりが集結
千代田区とアーツ千代田3331は、ポコラート世界展「偶然と、必然と、」-障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つ-を開催します。

独自のリサーチ、キュレーションのもと、世界22か国から50名の作家による240点あまりの作品が展示されます。

展覧会6つのテーマ
1.宇宙のこころ[内なる人格と仮面]
鏡に映った自分の裸体を描いた創作や、自ら様々な人物に扮して撮影したポートレートなど、作者の感情、欲望といった内面世界が創作に映し出されています。

2.宇宙のうごき[行為からかたちへ]
割り箸を箱にさし続けることによって出来上がった大きな立体物、鮮やかな糸を巻きつけて蛹のようになった人形など、日常の行為や習慣は蓄積され、思いも寄らない造形が現れます。

3.宇宙のからだ[身体生命の謎]
日用品を使用して忠実に再現された恐竜や、鮮やかな色彩と簡潔な線で描かれた筋骨隆々の男性像など、生き物や事物に対する作者の強い興味や探究心を通して対象は再構成され、独自の形態が生まれます。

4.宇宙の種類[取り巻く環境からかたちへ]
聞こえる音の波動を可視化した模様のような絵画や、空軍基地の近くで、観光客向けのみやげ物として作られた鳥のような飛行機など、作者は彼らの周囲の環境を取り込みながら創作を行っています。

5.宇宙の成り立ち[共振するいのち]
紛争や貧困といった社会情勢によって変化した故郷の人々の内的世界を表したレリーフや、記号や数字のシステムで世界を結びつけようとする絵画など、作者は彼らが属する世界の成り立ちをそれぞれの視点で捉え、創作を通して関わろうとしています。

6.宇宙の記憶[時空を超えた記憶への旅]
母親からかけられた言葉を図形とともに紙にしたためたドローイングや作者の人生の出来事や歴史上の英雄、聖書の登場人物などを数式とともに描いた絵画など、作者の中の記憶は時に空想の出来事や史実と交錯し、現実世界を超越した表現を生み出します。

ポコラート POCORART とは
Place of “ Core + Relation ART ”の略であり「障害の有無に関わらず人々が出会い、相互に影響し合う場」またその「場」を作っていく行為を示す、アーツ千代田3331独自の概念です。

ポコラートは、アーツ千代田3331の開館(2010年)と同時に始まり、障害のある人、ない人、アーティストが同じ地平で表現を高め合う場を創造すべく、公募や展覧会、ワークショップ、トークイベント等に10年にわたって取り組んできました。

アール・ブリュットとアウトサイダー・アート
今回展示される創作の中には、アール・ブリュットやアウトサイダー・アートといったカテゴリーに位置付けられるものもあります。

アール・ブリュット(フランス)
フランス人の画家、ジャン・デュビュッフェが考えた造語。「ブリュット」はフランス語で「加工していない」「ありのままの」という意味で、芸術でいうと「アートに加工を施していない」というニュアンスになります。

精神病患者、受刑者、子ども、民俗芸術や交霊術によるアフリカやオセアニアの人たちの作品など、専門的な美術教育を受けない人びとによる表現を指します。

アウトサイダー・アート(イギリス)
1972年、「アール・ブリュット」をイギリスの美術批評家、ロジャー・カーディナルが訳したものです。

また、これ以前には、アメリカの社会学者ハワード・S・ベッカーが、アーティストやミュージシャンの社会から逸脱した行動を論じた「アウトサイダーズ」(1963年)という論文を発表しており、いわゆる美術界の主流には影響されずに独自に生み出される表現を指して使われます。
 
 
ポコラート世界展「偶然と、必然と、」
-障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つ-

会期 2021年(令和三年)7月16日(金)から9月5日(日)まで 会期中無休
会場 アーツ千代田 3331 1階メインギャラリー
開場時間 午前11時から午後6時まで(入場は午後5時30分まで)
料金 800円
※65歳以上は500円。中学生以下・千代田区民は身分証の提示で無料
※障害者手帳をお持ちの方とその付添の方1人は無料
 
 

ローラ・デルヴォー《無題》 1994年 毛糸、布、聖母マリアの石膏像 66×23×23cm
©collection abcd/Bruno Decharme 


 

イマニュエル・マペウ 《無題》 2015年 木材、塗料 ©collection abcd/Bruno Decharme 


 

ジョージ・ワイドナー《Megalopolis》 2000-2010年 ミクストメディア、紙ナプキン 60.5 ×98cm ©collection abcd/Bruno Decharme 


 

カルロス・ハビエル・ガルシア・ウエルゴ《無題》 1990年 フェルトペン、アクリル絵の具、段ボール 72.4×50cm photo: MIYAJIMA Kei 

 
     

ヨーゼフ・ホーファー《無題》 2009年 鉛筆、色鉛筆、紙 44×60cm 

     




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