アート / コラム
Posted on 2024-02-22
[美術散歩]オフィーリアと平安和歌
みなさま、こんにちは 編集部のYOMOでございます。
ラファエル前派の画家ミレイの作品に、オフィーリアがあります。
イギリス象徴主義の絵画作品ですね。
一度見たら忘れられない、とても印象的な作品です。
ロンドン留学中の夏目漱石もこの作品を見たとか。
わたくしはこのオフィーリアを見ると、平安時代に詠まれたある和歌を思い起こします。
その和歌とは、
散る花に
せきとめらるる
山川の
深くも春の
なりにけるかな
大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)が詠んだ歌で、勅撰和歌集「詞花和歌集」に選ばれています。
散る花びらが川面に重なり
山の川を堰き止める
川が淵のように深くなるように
春も深くなってきた
現代語に訳すとこんな感じですね。
和歌は感覚や印象を詠んでいるので、使われている言葉に重層的に意味が込められています。
現代語に訳すと、説明的になってしまって、不本意なのですが、仕方ないですね。
オフィーリアの絵は神秘的な感じです。
一方、大中臣能宣の歌は春の景色の一部分を切り取っていて明るい雰囲気もあるのですが、どこか内省的な感じも受けます。
そこがわたしにとっては、共通する部分だと感じるのかもしれません。
きょうはこのへんで。
Related Posts