アート

Posted on 2024-03-28
国立西洋美術館 初の現代アート展 「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」


2024年(令和六年)3月12日(火)から5月12日(日)まで、東京・上野の国立西洋美術館で「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」が開催中です。

20世紀半ばまでの西洋美術作品を所蔵・公開してきた国立西洋美術館が開館以来65年の歴史で初めて行う、現代アーティストとのコラボレーションです。

同館の母体となった松方コレクションを築いた松方幸次郎は、日本の若い画家たちに本物の西洋美術を見せるため、膨大な数の美術品を収集しました。

開館65年、設立の原点を見つめ直し、同館の未来を思い描くなかで生まれた問いかけが、「国立西洋美術館の展示室は、未来のアーティストたちが生まれ育つ空間となりえてきたか?」というものでした。

それは、同館の自問であると同時に、参加アーティストたちへの問いかけでもあり、会場を訪れる観覧者とともに考えたい問いにほかなりません。

参加アーティストは次の通りです。(50音順)

飯山由貴
梅津庸一
遠藤麻衣
小沢剛
小田原のどか
坂本夏子
杉戸洋
鷹野隆大
竹村京
田中功起
辰野登恵子
エレナ・トゥタッチコワ
内藤礼
中林忠良
長島有里枝
パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)
布施琳太郎
松浦寿夫
ミヤギフトシ
ユアサエボシ
弓指寛治

会場には、参加アーティストが同館所蔵作品からインスピレーションを得て制作した新作や、美術館という場所の意義を問い直す作品などが展示され、アーティストたちが国立西洋美術館やそのコレクションにどう眼差しを向け、どのような問題を提起しているかを体感することができます。

また、モネ、セザンヌ、ポロックら西洋美術史に名を刻むアーティストたちの作品も約70点も展示され、過去に生みだされた作品と、現代に制作された作品を同じ空間で鑑賞することができます。

現代アートの現状にとどまらず、未来のアートシーンを知るうえでも見ておきたい展覧会だと言えるでしょう。

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

会期 2024年3月12日(火)~5月12日(日)
会場 国立西洋美術館 企画展示室
開館時間 9時30分~午後5時30分 金曜・土曜日、4月28日(日)、4月29日(月・祝)、5月5日(日・祝)および5月6日(月・休) 9時30分~午後8時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日、5 月7 日(火)
(ただし、3 月25 日(月)、4 月29 日(月・祝)、4 月30 日(火)、5 月6 日(月・休)は開館)
※開館時間・休館日の最新情報は国立西洋美術館公式サイトトップページ「お知らせ」をご確認ください。
観覧料 一般2000円、 大学生1300円、 高校生1,000円
※中学生以下は無料。
※心身に障害のある方及び付添者1 名は無料。
※大学生、高校生及び無料観覧対象の方は、入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください。
※国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校の学生・教職員は、本展を学生1,100円、教職員1,800円でご覧いただけます。(学生証または教職員証をご提示のうえ会期中、ご来場当日に国立西洋美術館の券売窓口にてお求めください)
※観覧当日に限り本展観覧券で常設展も観覧できます。
公式サイト https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023revisiting.html

写真は3月11日に実施された内覧会で撮影した会場のようすです。

 

田中功起は≪いくつかの提案:美術館のインフラストラクチャー≫(2024年)を展示。国立西洋美術館に対して、複数の「提案」をするという行為自体を作品として示した

 

鷹野隆大の展示コーナー。壁面3点は、左より鷹野隆大≪レースの入った紫のキャミソールを着ている(2005.01.09.L.#04)「IN MY ROOM」シリーズより≫(2005年、タイプCプリント、作家蔵)、ギュスターヴ・クールベ≪眠れる裸婦≫(1858年、油彩/カンヴァス、国立西洋美術館)、鷹野隆大≪KIKUO(1999.09.17.Lbw.#16)「ヨコたわるラフ」シリーズより≫(1999年、ゼラチンシルバープリント、作家蔵)

 

 

奥壁面の絵画はクロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫(1916年、油彩/カンヴァス、国立西洋美術館)。松方幸次郎氏遺族より寄贈された旧松方コレクションだ。その手前には、竹村京の≪修復されたC.M.の1916年の睡蓮≫(2023~2024年、釡糸、絹オーガンジー、作家蔵)が展示されている。ふたつの作品は重ねて見ることができる。事物を未来へと残すための「保存」あるいは「修復」について考える契機となる展示だ

 

パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)とは、メンバーの共同生活/共同制作の現場であり展示空間でもある。写真は今回の展示風景。床と壁一面に展示されている



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