歴史 / 音楽

Posted on 2021-05-21
第3展示室特集展示「紀州徳川家伝来の楽器-こと-」 国立歴史民俗博物館



七絃琴 天明3(1783)年 国立歴史民俗博物館蔵 


多彩な「こと」を比較紹介
国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)は、紀州徳川家伝来楽器コレクション(159件)を所蔵しています。

それらは、主として紀州藩の第十代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ 1771~1853年)によって収集されたものと伝えられています。

雅楽器を中心に、吹きもの(管楽器)・弾きもの(絃楽器)・打ちもの(打楽器)など各種の楽器や、楽譜、調律具、収納袋や箱などの附属品、さらに楽器にまつわる情報を記した附属文書から構成されており、楽器史や音楽史上きわめて重要な資料です。

2021年(令和三年)5月25日から7月4日まで、同館第3展示室で開催される、特集展示「紀州徳川家伝来の楽器-こと-」では、同コレクションの絃楽器の中から、「こと」、すなわち琴や箏の仲間の楽器を取り上げ、附属品や附属文書とともに展示します。

現代で「こと」といえば、13本の絃を張った箏のことを連想される方が多いかと思いますが、『源氏物語』に「きんのこと」(琴)、「そうのこと」(箏)、「びはのこと」(琵琶)の語が登場するように、「こと」は古くはもっと広い意味の、絃楽器全体を示す用語でした。

さらに、箏や琴に代表される細長い胴を持つツィター系の絃楽器(琴箏類)と、琵琶や三味線のように共鳴胴の先に棹が張り出した形態のリュート系の絃楽器とを区別する意味で、もう少し狭義に前者を「こと」と呼ぶ場合があり、音楽学的にはこの用法が一般的です。

コレクションの中には、雅楽に用いられる楽箏や和琴、江戸時代の文人に愛好された七絃琴のほか、鼓瑟(単に瑟とも。二十五絃琴)、板琴(一絃琴)など多彩な琴箏類が含まれます。

展示では、これら多彩な「こと」を比較できるように紹介し、各々の楽器の構造的な特色や、歴史的な背景を概観します。
 
    
第3展示室特集展示「紀州徳川家伝来の楽器-こと-」
会期 令和三年(2021年)5月25日(火)から7月4日(日)まで
開館時間 9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日 月曜日
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室
入館料 一般600円、大学生250円、高校生以下無料

 

鼓瑟 江戸時代 桐屋丹後作 国立歴史民俗博物館蔵


   

和琴(銘「都風」) 室町時代 国立歴史民俗博物館蔵 


 

箏(銘「君が千歳」) 万治年間(1658-1661) 神田治定作 国立歴史民俗博物館蔵

 
 
   
     




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