歴史 / 建築

Posted on 2021-06-09
京都の「モダン建築」を集める展覧会 京都市京セラ美術館



京都大倉別邸(現・大雲院)祇園閣 模型1:20 1928年(昭和3年)頃 h1683 x w805 x d805 mm 制作:坂本甚太郎(建築模型師) 所蔵:大倉集古館 画像提供:森美術館|撮影:来田猛 


“生きた建築博物館”京都
明治時代、東京への遷都を機に衰退した京都は、その後の復興を経て、教育や先端技術、文化や観光などにおける先駆的な都市として発展し、それらを象徴するように数々の名建築が生まれました。

そして幸運にも、明治以降に建てられた洋風建築や近代和風建築、モダニズム建築など、いわゆる「モダン建築」は数多くが現存し、京都は日本近代化の縮図としても興味深い都市です。

明治以前の古建築はもちろん、近現代建築の宝庫でもある京都は、歴史的価値ある建築の保存活用の先進都市であり、「生きた建築博物館」と言っても過言ではありません。

本展は、京都を代表するモダン建築のひとつ、京都市京セラ美術館を会場に、建築を通して京都を知る同館初の大規模建築展です。

展覧会初出展や重要文化財などの貴重な図面、写真、スケッチ、模型、家具、映像、言葉など、400点を超える多様な資料を展示します。

展示鑑賞と同時に、建物探訪や街歩きなども実施します。

展覧会構成
第1章 古都の再生と近代

平安京の時代から千年、皇室をはじめ公家や諸侯らのお膝元として栄えてきた京都は、明治に入り、東京遷都によって一気に衰退し、官民が一致して復興に取り組みます。

なかでも推進力となったのは教育と殖産興業です。西洋の文化や技術を取り入れ、京都の再生を成し遂げました。

第2章 様式の精華
本格的な様式建築が京都を飾り始めるのは、東京や大阪での成熟を経た明治後期からでした。庁舎や銀行、邸宅などにバロック、ルネッサンス、チューダー、スパニッシュといった多様な様式が導入され、良質な作品が生まれました。

第3章 和と洋を紡ぐ
「日本に建つべき建築とは」という問いは、日本が西洋建築を学び始めた明治初期から投げかけられていました。

日本からアジア、ヨーロッパを捉え直し、ときには中国や中東などの要素も混ぜ合わせることで、和と洋の隔たりを埋めようと試みました。

第4章 ミッショナリー・アーキテクトの夢
カトリック、プロテスタント、聖公会、ロシア正教会が近代初期の京都に拠点を築き、その活動や文化が都市に根づきました。

本章では、キリスト教建築の設計を課せられた使命として、天職として臨んだ建築家、いわゆるミッショナリー・アーキテクトが、その崇高な理念とともに夢見た建築を紹介します。

第5章 都市文化とモダン
人々が求める近代都市の風景は、いわば「新しくて古いもの」なのかもしれません。

抽象化されたモダンなデザインでありながらも、様式性を残した装飾的な細部、伝統的な要素を持つ、時代を超えて人の目や触感になじむもの。

そんな新しさと古さがせめぎ合う個性的な建物たちが、京都のモダンな街の風景を創っています。

第6章 住まいとモダン・コミュニティ
明治後半から学者や芸術家、文筆家といった人々が市中心部から郊外へ移り住み始めました。

自然と山への眺望、閑静でゆとりある住空間、明るくモダンな生活文化、隣人とのコミュニティを求めて。

近代の住まいとその周辺環境は、その時代の居住をめぐる価値観と思想をいまに伝える、希望と憧れに満ちた空間です。

第7章 モダニズム建築の京都
意匠、設備、施工などの側面から合理的な建築を追求し、様式建築からの脱却を目指した戦前。国際的な潮流を受容しそれを進化/深化させた戦後。

新しい時代の到来を予感させる名作から、モダニズムの美学を継承しつつ、環境や伝統文化を取り込み、風土に馴染む空間の創造に成功した傑作まで、未来へ遺したい建築が京都には存在します。

京都市京セラ美術館開館1周年記念展
モダン建築の京都

会期 2021年(令和三年)9月25日(土)から12月26日(日)まで
会場 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
開場時間 午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料 一般1900円(1700円)、大学専門学生1400円(1200円)、高校生900円(700円)、小中学生400円(200円)、未就学児無料
※( )内は前売・20人以上の団体料金(同館公式オンラインチケットe-tixのみで販売)
※前売り券は2021年7月初旬から、同館ウェブサイトの公式オンラインチケットe-tixで発売予定
 
 

帝国京都博物館(現・京都国立博物館) 柱頭装飾木彫原型 1895年(明治28年)頃 重要文化財 h624 x w482 x d482 mm 所蔵:京都国立博物館 画像提供:京都国立博物館 


  
  

帝国京都博物館(現・京都国立博物館) 表門番所正面之図 尺度二十分ノ一 1895年(明治28年)頃 重要文化財 h500 x w446 mm 所蔵:京都国立博物館 画像提供:京都国立博物館 


 

長楽館(旧村井吉兵衛京都別邸) 螺鈿細工の椅子 大正時代以前 h1050 x w1830 x d650 mm 所蔵:長楽館 撮影:三吉史高 


  

同志社大学クラーク記念館 同志社久良留久神学館建築設計図 1892年(明治25年) 重要文化財 全長約10 m 所蔵:同志社大学 画像提供:同志社大学 


 
     
     




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