アート

Posted on 2021-09-21
昭和の名実業家 福富太郎 鮮やかに開花させた美術品コレクター人生



池田蕉園 《宴の暇》 1909年 福富太郎コレクション資料室蔵 


福富コレクションの全貌を紹介
福富太郎(ふくとみたろう 1931~2018) は、1964年のオリンピック景気を背景に、全国に44店舗のキャバレーを展開して、キャバレー王の異名をとった実業家です。

その一方で、父の影響で少年期に興味を抱いた美術品蒐集にも熱中し、コレクター人生も鮮やかに展開させました。

念願だった鏑木清方を手はじめに蒐集をスタートさせますが、著名な画家の作品だけでなく、未評価の画家の作品であっても自身が良質であると信じれば求め、蒐集内容の幅を拡げていきます。

さらには、関連する資料や情報を集めて対象への理解を深め、美術に関する文筆も積極的に行いました。

こうして、情熱を傾け蒐集した作品の数々は、日本近代美術を紹介する展覧会において多くの人々を魅了し、福富は他とは一線を画すコレクターとして注目される存在となったのです。

本展は、作品を追い求めた福富太郎の眼に焦点をあて、その類い稀なるコレクションの全貌を紹介する初めての機会となります。

展示構成
Ⅰ コレクションのはじまり ー鏑木清方との出逢い
鏑木清方作品への想いは少年時代に遡ります。

父親が大切にしていた清方の作品が空襲で焼失。この時の体験が原点となり、福富は事業に成功した1964年頃から清方作品を本格的に蒐集するようになりました。

1967年、作品を携えて初めて本人を訪ねた際には「一点一点ていねいに目を通され、嬉しいことにぜんぶ自分が描いたものだと言ってくださったが、なかでも若い頃の作品を喜ばれた」と語っています。

それ以来、清方との親交は続き、福富は清方研究には欠かせない、充実した作品を所有するコレクターとして注目されるようになったのです。

Ⅱ 女性像へのまなざし
福富コレクションの核ともいえるのが、近代日本画の女性像です。

福富は画家の有名無名に関係なく、自身の眼で見て気に入った作品を蒐集し、さらには、関連する資料や情報を収集し対象への理解を深めてコレクションの幅を拡げていきました。

梶田半古、渡辺省亭、富岡永洗、小村雪岱、鏑木清方を軸としながら、その先達・同輩・後輩に至るまで、江戸時代以来の伝統をしっかりふまえた線描と岩絵具ならではの美しい彩色が施された女性像を、積極的に蒐集しました。

Ⅲ 時代を映す絵画
福富は、洋画においても重要な作品を数多く収蔵しています。

近代洋画の父としてしられる高橋由一や山本芳翠をはじめ、岡田三郎助や岸田劉生といった美術史上にあがる著名画家の作品を手にする一方で、洋画においても画家の有名無名を問わず、自分が本当に惚れ込んだ作品を蒐集するという姿勢は変わりませんでした。

黎明期の洋画から戦争画に至るまで、知られざる近代洋画コレクションを30名の画家の作品をとおして紹介します。
 
 
コレクター福富太郎の眼
The Collection of Fukutomi Taro

会期 2021年(令和三年)11月20日(土)から2022年(令和四年)1月16日(日)まで
会場 あべのハルカス美術館
休館日 11月29日(月)、12月31日(金)、1月1日(土)
開館時間 火~金午前10時~午後8時、月土日祝午前10時~午後6時 ※入館は閉館30分前まで
観覧料 一般1500円(1300円)、大高生1100円(900円)、中小生500円(300円)
※料金はすべて税込み
※カッコ内は前売りおよび15名以上の団体料金
※前売券は11月19日まで販売
※障がい者手帳をお持ちの方は、美術館チケットカウンターで購入されたご本人と付き添いの方1名様まで当日料金の半額
※本展観覧券(半券可)の提示で、特別展「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(大阪市立美術館)の当日券を100円引で購入できます(1枚につきおひとり様1回限り有効、他の割引券との併用不可)
 
 

北野恒富 《道行》 1913年頃 福富太郎コレクション資料室蔵 


 

上村松園 《よそほい》 1902年頃  福富太郎コレクション資料室蔵 


  

岡田三郎助 《ダイヤモンドの女》 1908年 福富太郎コレクション資料室蔵 


 
        
     




 
 

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