歴史 / ライフ

Posted on 2021-11-10
REVIEW「学びの歴史像―わたりあう近代―」



 

「国民」が生み出されていく過程を多面的に提示
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館で、企画展示「学びの歴史像―わたりあう近代―」が開催中です。

「人々は何を学んできたのか、なぜ学ぶのか」について、19世紀後半以降、日本列島に近代国民国家が成立していく様相とともに、「学び」という視点から紐解くものです。

狭義の「教育史」ではなく、幕末維新期の世界認識と自国認識、明治社会における旧幕臣の役割、富国をめざした博覧会、衛生観念の導入と相克、アイヌにとっての近代、国民をつくるための学校教育のしくみ、といった切り口から、それらの展示を通して、近代における「学び」の意義を考えます。

とりわけ、伝統と近代、欧米とアジア、中央と周縁、強者と弱者など、それぞれに緊張感をはらんだわたりあいを伴いつつ、教育や学知を通じて「国民」が生み出されていく過程を多面的に明らかにする企画です。

構成は次のとおりです。
第1章 世界と日本の認識をめぐる〈学び〉
第2章 明治の文化・教育と旧幕臣
第3章 博覧会がめざした「開化」「富国」
第4章 「文明」に巣くう病
第5章 アイヌが描いた未来
第6章 学校との出会い
エピローグ

幕末から明治という怒涛の流れの中にあった「学び」の姿が、対外関係史、文化史、経済史、医療・衛生史、アイヌ史などから読み解かれています。

アイヌ民族の歴史や言葉、首里や八重山の近代関係資料など、全国から集められた資料が一堂に展示されているのは見どころです。

「ブラントン日本図」や「元ト昌平阪聖堂ニ於テ博覧会図」など初公開の資料も含め、歴博の豊富な館蔵資料も最大限に紹介されています。

唱歌教科書初代の「君が代」のメロディなど、QRコードを読み取って「聴く展示」もあります。
 
  
学びの歴史像―わたりあう近代―
会期 2021年(令和三年)10月12日(火)から12月12日(日)まで
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
休館日 毎週月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)
開館時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は4時00分まで)
※開館日・開館時間は変更される場合があります。
入館料 一般1000円、大学生500円、高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※高校生および大学生の方は、学生証等を提示してください。(専門学校生など高校生および大学生に相当する生徒、学生も同様)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館が無料です。
※半券の提示で当日に限りくらしの植物苑にご入場可能です。
※会場の混雑防止のため、土・日・祝日、会期末(12月7日(火)から12月12日(日))は、オンラインによる入場日時の指定(事前予約)が必要です。平日は、会期末12月7日(火)から12月10日(金)をのぞき、事前予約は不要です。

※写真は10月11日に行われたプレス向け内覧会で撮影したものです。
 

 


 

 


   

卓被 東京国立博物館蔵 


 

 


 

 


 

 


 

 

        




 
 

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