アート

Posted on 2022-09-12
16年ぶり待望の大回顧展 大竹伸朗40年以上に及ぶ創作活動を体感



《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》 2012年 Commissioned by dOCUMENTA(13) Photo:山本真人 


約500点の作品を7つのテーマで構成
現代日本を代表するアーティスト大竹伸朗の大回顧展「大竹伸朗展」が、東京国立近代美術館(東京・竹橋)で2022年(令和四年)11月1日から2023年(令和五年)2月5日まで開催されます。

大竹伸朗(1955~)は、1980年代初めに華々しくデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大な建造物に至るまで、猛々しい創作意欲でおびただしい数の仕事を手掛け、トップランナーであり続けてきました。

近年ではドクメンタ(2012年)とヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)の二大国際展に参加するなど、現代日本を代表するアーティストとして海外でも評価を得ています。

また国内でも「東京2020 公式アートポスター展」への参加、国指定重要文化財「道後温泉本館」の保存修理工事現場を覆う巨大なテント幕作品《熱景/NETSU-KEI》の公開など、精力的に活動を続けています。

今回の回顧展は、国際展に出品した作品を含むおよそ500点を7つのテーマに基づいて構成します。

作者が「既にそこにあるもの」と呼ぶテーマのもとに、半世紀近く持続してきた制作の軌跡をたどるとともに、時代順にこだわることなく作品世界に没入できる展示によって、走り続ける強烈な個性の脳内をめぐる感覚が味わえることでしょう。

展覧会構成
本展は作品制作年の時系列にこだわらず、以下の7つのテーマで構成されます。

7つのテーマがそれぞれ重なり、ゆるやかにずれながらつながっていく展示空間で、大竹伸朗の作品世界を紹介します。

展覧会を締めくくるのは、最新作《残景 0》(2022年)と最新のスクラップブックです。
※「音」のみ2階ギャラリー4が会場となります。

自/他
「全く0の地点、何もないところから何かをつくり出すことに昔から興味がなかった」と語る大竹の表現は、彼が「既にそこにあるもの」と呼ぶ他者との共同作業であり続けてきました。本展は、自画像やこれまで大竹を形成してきた人物や風景などのイメージの群れがずらりとひしめく壁で始まります。9 歳の頃の作品から近年の大作《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》(2012年)まで、大竹の創作活動の歳月を凝縮したセクションです。

記憶
「自/他」の共同作業によってゆらぎ変容する自己をつなぎとめるのは記憶です。たわいもない印刷物やゴミとされるようなものまで、ありとあらゆるものを貼り付け、作品にとどめていく大竹の制作は、それ自体が忘却に抗う記憶術だといえるでしょう。その作品が喚起する光景は、大竹個人の記憶にとどまらず、物質に刻まれた記憶の可能性をも問いかけるものです。このセクションは「時憶」「憶景」「憶片」など、記憶に対する大竹の関心を示すシリーズを中心に構成されます。

時間
そのときどきに形を変えるものとして「記憶」を捉えている大竹にとって、時間は他の物質とならぶ素材のひとつです。このセクションでは30年もの時間をかけて変化した素材を用いた作品や、30分間の制限を設けて全く無計画に描きあげた作品などを紹介します。時間は拾い、集め、貼り合わせて厚みを増す材料であり、ときには不確定な偶然を呼び寄せてくれる道具でもあるのです。

移行
半世紀近い活動を通じて作品の中に折りたたまれた「時間」は、大竹自身の様々な場所への移行によって彩られています。本セクションには、大竹が世界各地や、日本の津々浦々から集めたローカルな図像が現れます。模写や切り貼りによって、元々あった場から何かを転移させることで作品を成り立たせる大竹にとって、「移行」とは作者の身体的な移動だけでなく制作方法をも意味します。

夢/網膜
「移行」という制作方法を、物質的ではないやり方で試みたのが「網膜」シリーズです。捨てられたポラロイド写真が、漠然と思い描いていた夢のようなイメージを「あまりに忠実に再現している」ことを発見した大竹は、その上にどろどろの透明な樹脂をのせました。樹脂の質感と写真の色彩は独立したまま重なり、見る者の目の網膜や脳の中で場所を移し、混ざり合うことで、作品が完成します。


「夢/網膜」において重なり合うのは実体のないイメージですが、大竹の制作の基本となるのは、物質の寄せ集めと切り貼りです。このセクションでは、印刷製本技術の粋を凝らした豪華本と、主に既製印刷物のカラーコピーを編集して綴じた手製本を一挙に紹介します。ときに尋常でない数の層となる大竹の作品ですが、覆われて消えながらも残る下層の気配こそ重要だと大竹はいいます。


大竹が積み重ねる「層」の素材は、音も含みます。1982年の初個展よりも前から、大竹にとって音は最も重要な要素であり続けてきました。このセクションでは、貴重な初期のサウンド・パフォーマンスや、ステージそのものを作品化した大作《ダブ平&ニューシャネル》(1999年)のほか、音にまつわる作品を紹介します。
 
なお、本展は2023年に、愛媛県美術館(5月3日~7月2日)と富山県美術館(8月5日~9月18日[仮])でも巡回開催される予定です。
 
 
大竹伸朗展
会期 2022年(令和四年)11月1日(火)から2023年(令和五年)2月5日(日)まで
会場 東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー、2F ギャラリー4
開館時間 午前10時~午後5時(金・土曜は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(ただし1月2日、1月9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
観覧料 一般1500円、大学生1000円 
※いずれも消費税込
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名) は無料
※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧できます
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://www.takeninagawa.com/ohtakeshinroten/
  
  

《ダブ平&ニューシャネル》 1999年 公益財団法人 福武財団 


 

《宇和島駅》 1997年 各190×90×180cm Photo:岡野圭 

《スクラップブック #71/宇和島》 2018–21年 33×85.5×40.4cm 574ページ/17kg Photo:岡野圭 


 

©︎Shinro Ohtake, photo by Shoko 

 

 




 

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「大竹伸朗展」の開催を記念して、M&Cの読者の中から5組10名様にチケットをプレゼントいたします。

以下のフォームより、お名前、メールアドレス、ご住所をお書きになり、ご応募ください。

締め切りは、2022年10月31日24時です。

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