マネジメント

Posted on 2012-01-05
【年頭所感】 信頼を結ぶコミュニケーションを ~社団法人日本印刷技術協会 浅野健会長~


【年頭所感】 
社団法人日本印刷技術協会 浅野健 会長
 

新年明けましておめでとうございます。

 昨年を表す漢字に「絆」が選ばれました。この「絆」は大きな災いによってその大切さが再認識されたからこそだと思います。

 全国で多くの方が、被災された方々のために何か力になりたいと活動されました。また、被災された方はそれまでに構築した地域の結びつきを失いたくない、と様々な努力を重ねておられます。見知らぬ人同士であっても何か力になりたいと感じ、それを実行しています。人と人との「絆」が、無縁社会と表現されるこの時代にも存在している事実を確認することができました。人と人だけでなく、企業と企業の絆も立派に機能しました。入手し難しくなった諸材料を奪い合うのではなく、どうすれば分かち合うことができるのか。日頃競争関係にあった企業同士が知恵を出し合いました。この事実、この知恵を今後日常的にどのように継続するか、その実現こそ被害を受けた方々に報いることになるのではないでしょうか。

 企業と企業の「絆」の根元はそれぞれの企業に所属する人と人との信頼です。そして信頼の礎はコミュニケーションです。
 人類が誕生してから言語が用いられるまでのとても長い間、私たちの祖先は言語に頼らないコミュニケーションに努力しました。その結果人類は殺し合いによる絶滅を免れたのです。その後、言語、文字、そして活字による大量複製を目的にした印刷の時代を経てコミュニケーション手段が多様化した現代を迎えています。新しい手段が生まれることにより、人類のコミュニケーションは飛躍的に進化し、その結果近代文明が誕生したのです。

 こう考えれば、手段の選択肢が豊富になった結果、私たちのコミュニケーション能力はそれが乏しかった時代と比較すれば、はるかに向上しているはずです。印刷から電子メディアが主役となったかのような今日、利便性においては確かに大きな向上がありました。しかし、利便性が全てでしょうか。私はそうは思いません。人と人、企業と企業の信頼は顔と顔、言葉と言葉を交わすことから始まります。利便性を求めることは重要ですが、それ以上に重要なのは「想い」を伝え合う、信頼を結ぶコミュニケーションです。「絆」を大切にし、「絆」から未来を創造するためにも真のコミュニケーションのあるべき姿を追求すべきです。

 社団法人日本印刷技術協会は本年4月、「公益社団法人日本印刷技術協会」として再出発致します。印刷産業の未来が多様化することを踏まえ、人類のコミュニケーション手段がどのように進化し、その結果何を得、何を失ったのかを考察しこれからに活かしたいと願っています。

 コミュニケーションにおける「温故知新」「不易流行」とは何か、大きなテーマにも挑み、公益社団法人としての責任を果たして参ります。これまで以上のご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い致します。

日本印刷技術協会 公式サイト


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