アート

Posted on 2017-07-31
【レビュー】展示構成力にも注目「レオナルド×ミケランジェロ展」


 

明治の建築空間でルネサンス2大巨匠が対決
イタリア・ルネサンスの2大巨匠を取り上げた「レオナルド×ミケランジェロ展」(会期:2017年6月17日~9月24日)が、東京・丸の内にある三菱一号館美術館で開催中です。

レオナルドは画家としてだけでなく、建築、科学、解剖学の分野にまで関心を広げ、「万能人」と呼ばれた人物です。

一方、ミケランジェロは10代から頭角を現し、「神のごとき」と称された天才彫刻家です。

今回の展覧会は、芸術家の力量を示す上で最も重要とされ、すべての創造の原点である「素描」について、ふたりの作品を集める展覧会です。

素描のほかにも、油彩画、手稿、書簡など合わせて約65点を紹介します。

最も美しい素描と言われるレオナルドの《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》も、大きな見所のひとつです。

三菱一号館美術館の担当学芸員によると、意外にも、レオナルドとミケランジェロのふたりをこうした形で取り上げた美術展は初めてとのことです。

展示構成は全部で8章建てです。学芸員は「展示室の空間構成は、レオナルドとミケランジェロの対比に重点を置いて構想した」と話します。

序章は「レオナルドとミケランジェロ-その素描の力」。続いて、第1章「顔貌表現」、第2章「絵画と彫刻」、第3章「人体表現」の各章が3階に展開されています。

三菱一号館美術館の中では最も広い空間を使って展開しているのは、第2章「絵画と彫刻」。ここは、柱と梁で作られた構造物を構築し、展示空間を構成しています。

曲面のなだらかな壁にレオナルドの作品を、反対に角形の柱に囲まれた場所にミケランジェロの彫刻や素描を配置し、空間的にも両者を対比的に分けるような構成になっています。

階段を降りて2階に行くと、第4章「馬、建築」、第5章「レダと白鳥」、第6章「手稿と手紙」、終章「肖像画」という流れで展示が展開されています。

素描は一見地味ですが、よく見ると画家の手の動きまでもが見えてくるような奥深い作品です。

しかも、三菱一号館美術館は大規模美術館などに比べて、作品をより間近に見ることができるため、作品と親密に接することができます。

素描作品などを通して、ルネサンスの2大巨匠の“息吹”に触れてみませんか。

なお、8月15日(火)~18日(金)は、開館時間が20時まで延長されます(入館は閉館の30分前まで)。夜間開館中は18:00~21:00の間、美術館側の遊歩道がライトアップされ、ロマンティックな空間演出も楽しめます。

レオナルド×ミケランジェロ展
会期
 2017年(平成29年)6月17日(土)~9月24日(日) 
チケット 一般1700円、高・大生1000円、小・中生500円

冒頭および以下の写真は、6月16日に行われたプレス内覧会で撮影した会場のもようです。

 

 




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