アート

Posted on 2026-03-19
《展覧会レビュー》「高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995-2025 ― 時をまとい、風をまとう。」


 

 

2026年3月10日(火)から3月29日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995-2025 ― 時をまとい、風をまとう。」が開催中です。

本展は、写真家・高木由利子の東京の美術館における初個展です。

高木は1951年生まれ。武蔵野美術大学でグラフィックデザインを学びました。イギリスでファッションデザインを学んだのち、ファッションデザイナーとして活動し、写真家へ転身しました。

当初は風景やヌードを主題としていましたが、やがてファッションブランドの仕事にも携わるようになります。

本展で展覧する〈Threads of Beauty〉は、長期間に及ぶ高木の根幹的なプロジェクトです。

「ファッションとは何か」という壮大な問いの本質を追い求め、世界各地の伝統的な衣服をまとい生きる人々の日常を、30年間にわたり撮り歩いたのが〈Threads of Beauty〉シリーズです。

本展では、その集大成の中から精選した作品が紹介されています。

高木は〈Threads of Beauty〉を民俗史的な記録としてではなく、被写体となった人々の「格好良さ」に魅せられて撮影しています。

展示作品は約100点。8つのテーマで構成されており、それぞれのテーマごとに「Village(村)」が作られ、展示室内に8つのVillageが出現しています。

会場構成を手がけたのは、建築家・田根剛です。2006年からフランス・パリを拠点に活動しており、主な作品に『エストニア国立博物館』、『弘前れんが倉庫美術館』、『帝国ホテル 東京・新本館』(2036年完成予定)などがあります。

会場は高木の撮影旅行を追体験するような、時空を超えた空間が広がり、来場者は自由に回遊しながら鑑賞できます。

大きな布に作品を縫い付け、ダイナミックに展示

作品は竹和紙にインクジェットでプリントされ、石川県に本社を置く合成繊維メーカー小松マテーレが開発したKONBUという布に縫い付けられています。

展示空間で使用されているアクリルボックスやカーペットは、ザ・ミュージアムの過去の展覧会で使用されてきたもののリユースです。

高木および展示に関わった人々の美意識と環境に対する配慮を感じさせる空間づくりです。

会場では、新作の映像作品《同時多発的服飾 SHIBUYA × THE OTHER SIDE》も初公開されています。

本映像作品は、高木がコロナ禍前に渋谷の人々を撮影したものと、〈Threads of Beauty〉の作品とを組み合わせ制作されたものです。

「格好良さ」の追求は、アイデンティティの探索でもあり、渋谷であれ世界のどこであれ、時代を超える永遠の命題であることが、映像を通して伝わってきます。

※写真はすべて「高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995-2025」展示風景
Bunkamura ザ・ミュージアム、2026年

 

 

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