アート
Posted on 2014-01-23
写真展「101年目のロバート・キャパ ― 誰もがボブに憧れた」 東京都写真美術館で
Editor:蓬田(よも)修一
2014年3月22日(土)から5月11日(日)まで、恵比寿の東京都写真美術館で写真展『101年目のロバート・キャパ - 誰もがボブに憧れた』が開催されます。
2014年はロバート・キャパ(アンドレ・フリードマン、1913-54)の生誕から101年目にあたります。
戦争写真家として知られるキャパは、「ボブ」の愛称で親しまれ、戦場以外でも人びとの喜びや悲しみをとらえました。
孤児にほほ笑みかける兵士や、戦車の上で鼻をほじる男の子など、戦時に訪れた安らぎの一瞬や自ら結婚を望んだ恋人ゲルダを写した作品も交えて紹介されます。
20世紀前半、スペイン戦争や第二次世界大戦をはじめ、数多くの戦場の写真でその名を轟かせ、今では報道写真の伝説と化しているキャパですが、その実像はギャンブルが好きで、多くの友人たちとともに人生を楽しみ、なによりも女性たちを愛した普通の男性でした。
「ボブ」の愛称で親しまれた彼の生涯はしかし、愛した女性ゲルダ・タローとの死別や映画界での失意、写真家を続ける上での葛藤など、決して順風ではなく、むしろ挫折と生き急ぐかのような焦燥感にさいなまれていたとも言えます。
本展は東京富士美術館のコレクションを核にしたもので、戦場以外でキャパが同時代を生きる人々への共感や友人たちへの思いから写したカットも数多く紹介されます。今回日本で初公開される、キャパがゲルダを写した写真も見どころのひとつです。
新たな100年に向けて「プラスワン」というコンセプトで、キャパの真骨頂ともいえるユーモアや生きる喜びが表れた知られざる作品を中心に独自の作品構成が試みられます。
等身大のボブ・キャパを紹介するこれまでにはない機会であると同時に、今も多くの人を引きつけてやまない彼の人間性にも焦点を当てた展覧会です。
作家で彼の友人のひとり、ジョン・スタインベックは「キャパは多くの友人に愛されていたが、それ以上にいつも友人たちを愛していた」と書き残しています。
「伝説のカメラマン、キャパ」ではなく、挫折や失意を味わいながらも、あたかも好きだったギャンブルを楽しむように、40年の写真人生に命を賭けたボブの魅力を感じることができます。
構成は次のとおりです。
第1章:時代
1932年に撮影した亡命中のトロツキーにはじまり、日本軍に対峙する中国の市民や1940年代初頭のロンドン、連合国軍によって解放され、歓喜に沸くパリの街など、作品を通してキャパが歩んだ時代を概観します。
第2章:戦渦
1937年7月、スペイン内戦で撮影された「崩れ落ちる兵士」がアメリカのグラフ誌『LIFE』に掲載され、ロバート・キャパの名は一躍有名になりました。本章は、日中戦争や第二次世界大戦での北アフリカ戦線、イタリアの戦場のほか、連合国軍によるノルマンディー上陸作戦(Dデイ)など多くの代表作を含みます。
第3章:つかの間の安らぎ
戦場と化したスペインのマドリードやバルセロナ、チュニジア、シチリア、フランス領インドシナ(当時)などで、キャパは人々が人間性を取り戻したほんのひとときをフィルムに焼き付けました。
第4章:友人たち
キャパは多くの友人たちと親交を深めました。友人の中には著名人も多く、とりわけスペイン戦争以来のつきあいとなった小説家のヘミングウェイや大作「ゲルニカ」を描いたパブロ・ピカソ、「怒りの葡萄」の著者ジョン・スタインベックとの関わりは有名です。
第5章:人々とともに
フランコ反乱軍との戦いに赴く兵士たちの生き生きした表情や子どもを抱きかかえて逃げる家族、家を破壊されて立ちつくす住民、防空壕の中で語り合う年配の男女など、キャパは同時代の人々の喜怒哀楽を市民の目線で写しました。
「101年目のロバート・キャパ ― 誰もがボブに憧れた」
会期 2014年3月22日(土)~5月11日(日)
会場 東京都写真美術館 地下1階展示室
料金 一般1100円(880円)、学生900円(720円)、中高生・65歳以上700円(560円)、小学生以下無料
※( )内は20名以上の団体および東京都写真美術館友の会会員
問い合わせ TEL03-3280-0099(東京都写真美術館)
休館日や開館時間など詳細は公式サイトでご確認ください。
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