アート

Posted on 2020-12-17
【クリスマスに想う絵画】ルーベンス《キリスト昇架》《キリスト降架》



《キリスト昇架》 ピーテル・パウル・ルーベンス 

「フランダースの犬」のネロが見た作品
《キリスト昇架》(1610年)および《キリスト降架》(1614年)は、クリスマスシーズンにふと思い出す作品ではないでしょうか。

アニメ「フランダースの犬」の最終回で、クリスマスイヴの夜、家を追われたネロとパトラッシュが最後に教会で見ることができた作品です。

作者は、どちらも17世紀のフランドル・バロックを代表する画家ピーテル・パウル・ルーベンスです。

両作品は、聖母マリア教会とも呼ばれる、尖塔が印象的な「アントワープ聖母大聖堂」にあります。

どちらも中央パネル、左翼パネル、右翼パネルの3つの部分から構成される三連祭壇画です。三面鏡のように開閉できるようになっています。

この記事の冒頭にある作品が《キリスト昇架》です。イエス・キリストはイバラの冠を頭にかぶせられ、十字架に手や足を釘で十字架に打ちつけられ、いままさに9人の死刑執行人たちによって、十字架が立ち上がらんとしています。

悲痛な場面ですが、とても躍動感があります。右パネルに描かれた長いたてがみの馬も筋肉隆々です。

見上げるような視線のキリスト自身ですら「どうなっちゃうんだろう」と事のなりゆきを見ているような生き生きした感じがします。
 
 

《キリスト降架》 ピーテル・パウル・ルーベンス 

3人のマリアとキリスト
一方、《キリスト降架》(上の作品)は、磔刑によって命を落としたイエス・キリストの遺骸が十字架から降ろされる場面です。キリストの肌の色は生気のない灰色がかった白で、ぐったりしています。この場面からは、音が聞こえてきません。

赤い衣装の男性はキリストの弟子ヨハネです。左下のほうに女性が3人います。青い衣装を着て、キリストのほうに腕を伸ばしている女性が聖母マリア、キリストの左足を支えているのがマグダラのマリア、その後ろにいるのがクロパの妻マリアです。

今回、両作品をあらためてよく見て、人間イエス・キリストの、命の尊さ、はかなさを感じる作品だと思いました。
(M&C編集部 宮川由紀子) 
 




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