アート

Posted on 2020-12-21
【クリスマスに想う絵画】《東方三博士の礼拝》ボッティチェッリとアルトドルファー



ボッティチェッリが描く《東方三博士の礼拝》

フィレンツェ人なら知ってる有名人を描き込む
わたくしが教会の英会話教室に通っていたころ、クリスマス会で「東方三博士の礼拝」にまつわる英語劇を発表したことがあります。思い出深い絵画作品です。

「東方三博士の礼拝」とは聖書に出てくるお話です。東方から3人の賢者が、星に導かれてイエスの誕生を祝いにやってきます。イエスの家にたどり着くと、母マリアと一緒にいた幼子イエスを見て拝み、乳香、没薬、黄金をそれぞれ贈り物として捧げる、という場面です。

ルネサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリ(1445年~1510年)が描く《東方三博士の礼拝》(1475年頃)は、廃墟のような小屋にたくさんの人々が訪れています。

段差のあるところの上方にマリアとキリスト、ヨセフがいて、まるで舞台のステージのようです。天井には光。これはキリストから放たれている光と思われます。とても劇的です。

参列者にリアルな人物を描き込んでいるのも特徴です。注文主である銀行家組合の仲介人グアスパッレ・ラーミや、メディチ家といった当時の有力者たち。当時のフィレンツェ人なら知っている有名人たちです。

さらにボッティチェリは、画家自身も作品中に描き込みました。右下、振り返ってこちらを見ている人物がそうです。 
 

アルブレヒト・アルトドルファーが描く《東方三博士の礼拝》 

クリスマスぽい色使い
もうひとつ、《東方三博士の礼拝》をご紹介します。アルブレヒト・アルトドルファー(1480年頃~1538年)が描いた作品です。

アルブレヒト・アルトドルファーは、16世紀前半に活動したドイツの画家です。

彼の描いた《東方三博士の礼拝》からは、夜空の青、博士の服の赤、建物の明るい茶など、クリスマスをイメージさせる色使いを感じます。

ボッティチェリの《東方三博士の礼拝》に比べると、描かれている人数はぐっと少なくて、人物一人ひとりがよく見えます。

イエスが贈り物を喜んでいる様子がほほえましく感じられます。夜空には博士たちを導いた星がくっきり光っています。三博士の服がそれぞれ重厚なところもいいです。

彼は西洋絵画史において、歴史画や物語の背景としての風景ではない、純粋な「風景画」を描いた最初期の画家と言われています。
(M&C編集部 宮川由紀子) 
 




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