アート

Posted on 2021-07-11
川瀬巴水 回顧展 庶民生活が息づく四季折々の風景



川瀬巴水 《芝増上寺》 東京二十景 1925年(大正14年) 木版、紙 渡邊木版美術画舗 


伝統木版技術を駆使した詩情豊かな版画
大正から昭和にかけて活躍した版画家、川瀬巴水(1883~1957)の回顧展が、SOMPO美術館で開催されます。

堅実な写生と抒情的感性が高度な木版技術と融合した巴水の風景木版画は、今なお国内外の多くのファンを魅了し続けています。

今回の展覧会では、生涯に残した600点を越える木版画作品の中から、厳選した約280点を展示、会期中、前期・後期と一部作品を入れ替えて紹介します。

シリーズ(連作)作品を可能な限りまるごと展示
巴水の木版画の多くは、彼のふるさとである東京や、旅で描いた風景を「シリーズ」という形で結実させたものです。

選定された作品を展示する従来の展覧会に対し、今回の展覧会は代表的なシリーズを可能な限りまるごと展示します。

まとめて見る機会の少ないシリーズ(連作)を中心に構成するのも、今回の特色です。

新版画と渡邊庄三郎
江戸時代に誕生した浮世絵は、明治に入り西洋から流入してきた石版、銅版、写真術に押されて衰退していきます。

これを憂えた版元・渡邊庄三郎は、絵師・彫師・摺師の三者が協働する伝統的な木版技術の復興と版画の普及を目指し、創作的芸術を本位とする新しい時代の浮世絵版画「新版画」を提唱しました。

渡邊は、優れた絵師を求めて日本画家、洋画家、外国人画家にも声をかけ、かつての浮世絵よりも絵師の個性を重視し、木版表現を第一に尊重するスタンスで制作を進めました。

ジャンルは現代性を盛り込んだ風景画、美人画、役者絵、花鳥画と展開しましたが、とりわけ風景画は人気が高く最も多く制作されました。

彫りと摺りの高度な技術に支えられた作品群は国内外で高く評価され、主なマーケットであったアメリカでの評判は1930年代半ばに頂点に達します。

川瀬巴水は風景画の代表絵師として、渡邊庄三郎とともに新時代の意匠を凝らした画風や新たな手法にも挑戦し、40年にわたって共作を続けました。
 
 
川瀬巴水 旅と郷愁の風景
会期 2021年(令和三年)10月2日(土)から12月26日(日)まで
※会期中に一部展示替えあり 【前期】10月2日~11月14日 【後期】11月17日~12月26日
開館時間 午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
会場 SOMPO美術館
休館日 月曜日、11月16日(火) ※展示替えのため
観覧料 オンラインチケット:一般1300円、大学生1000円、当日窓口チケット:一般1500円、大学生1100円、高校生以下無料
※身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方はご本人とその介助者1名は無料、被爆者健康手帳をお持ちの方はご本人のみ無料(いずれも要予約、入場時要証明)
※当日窓口チケットは時間枠の定員に空きがある場合に限り、美術館受付で販売
 
      

川瀬巴水 《馬込の月》 東京二十景 1930年(昭和5年) 木版、紙 渡邊木版美術画舗 


 

川瀬巴水 《古ま形河岸》 東京十二題 1919年(大正8年) 初夏 木版、紙 渡邊木版美術画舗 


 

川瀬巴水 《金剛山 三仙巖》 朝鮮八景 1939年(昭和14年)8月 木版、紙 渡邊木版美術画舗 


 

川瀬巴水 《平泉金色堂》 1957年(昭和32年) 木版、紙 渡邊木版美術画舗 


 
        
     




 
 

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