アート / 歴史

Posted on 2024-07-25
「ハニワと土偶の近代」 文化史における出土遺物をひもとく


都路華香《埴輪》 1916年 京都国立近代美術館

あらゆる文化に連なるハニワと土偶
2024年(令和六年)10月1日(火)から12月22日(日)まで、東京・竹橋の東京国立近代美術館で「ハニワと土偶の近代」が開催されます。

出土遺物を美的に愛でる視点はいつから芽生え、いつから出土遺物は美術作品のなかに登場するようになったのでしょうか。

戦後、岡本太郎やイサム・ノグチによって、それまで考古学の資料として扱われていた出土遺物の美的な価値が「発見」されたというエピソードはもはや伝説化しています。

「縄文vs弥生」というきわめて分かりやすい二項対立の語りは、1950年代半ばに建築・美術にかかわる人々の間でいわゆる「伝統論争」に発展しました。

しかし、近代以降、地中から掘り出された遺物に着目した人物は彼ら二人にとどまりません。

出土遺物は、美術に限らず、工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、さらにはテレビ番組にいたるまで、幅広い領域で文化現象を巻き起こしてきました。

なぜ、出土遺物は一時期に集中して注目を浴びたのか、その評価はいかに広まったのか、作家たちが遺物の掘りおこしに熱中したのはなぜか。

本展は美術を中心に、文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を、明治時代から現代にかけて追いかけつつ、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を探ります。

歴史をひもとき、その複雑な機微を知ることで、私たちの足下に積み重なる文化的・社会的な「地層」が浮かびあがってくるでしょう。

展示構成は次のとおりです。

序章 好古と考古 -愛好か、学問か?
1章 「日本」を掘りおこす -神話と戦争と
2章 「伝統」を掘りおこす -「縄文」か「弥生」か
3章 ほりだしにもどる -となりの遺物

出品作品は、出土品を克明に描いた明治時代のスケッチからマンガまでというように、取り上げる時代とジャンルの幅広さは、今回の展覧会の大きな特徴です。

ハニワと土偶があらゆる文化に連なっていることを知ると、美術館を出た時、景色が少しだけ変わってみえるかもしれません。

ハニワと土偶の近代
会場 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期 2024年10月1日(火)~12月22日(日)
休館日 月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
開館時間 午前10時~午後5時(金・土曜日は午前10時~午後8時) ※入館は閉館の30分前まで
問い合わせ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
公式サイト https://haniwadogu-kindai.jp/

 

 

斎藤清《土偶(B)》 1958年 やないづ町立斎藤清美術館 ©Hisako Watanabe

 

蕗谷虹児《天兵神助》  1943年 新発田市

 

イサム・ノグチ《かぶと》 1952年 一般財団法人 草月会(千葉市美術館寄託) © 2024 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5599

 

岡本太郎《犬の植木鉢》 1954年 滋賀県立陶芸の森陶芸館

 




 

ハニワと土偶の近代」の開催を記念して、M&Cの読者の中から2組4名様に無料観覧券をプレゼントいたします。

以下のフォームより、お名前、メールアドレス、ご住所をお書きになり、ご応募ください。

締め切りは、2024年9月30日24時です。

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