アート
Posted on 2024-12-10
永青文庫2025年度展覧会スケジュール 日本画から石仏までバラエティに富んだ内容
永青文庫の2025年度における展覧会スケジュールを紹介します。4つの展覧会が開催されます。
人気の近代日本画を筆頭に、風景画巻、文房四宝、石仏とバラエティに富んだ展示内容です。
細川家の東洋美術コレクションの神髄が堪能できるラインナップです!
令和7年度初夏展
肥後熊本の絶景―「領内名勝図巻」を旅する―(仮)
熊本県指定重要文化財
衛藤良行「領内名勝図巻 上益城郡矢部手永之内」(部分)
寛政5年(1793)
永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)
会期 2025年4月26日~6月22日
休館日 毎週月曜日(ただし5/5は開館し、5/7は休館)
開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
「領内名勝図巻(りょうないめいしょうずかん)」(熊本県指定重要文化財)は、熊本藩のお抱え絵師・矢野良勝(やのよしかつ、1760~1821)と衛藤良行(えとうよしゆき、1761~1823)が、おもに熊本領内の滝や名所、川沿いの風景などの絶景を全15巻にわたって描いた、真景図の先駆的作例とされる画巻です。
天地の長さは約60cm、全巻を広げると計400mにも及び、これほどまで長大で迫力に富んだ作品は他に類を見ません。
描かせたのは絵画好きとして知られる8代藩主・細川斉茲(ほそかわなりしげ、1759~1835)です。
本展では、現存14巻のうちから選りすぐりの巻を通して、この規格外とも言える本作の迫真の風景描写や、制作背景を紹介します。
豊かな水と緑をたたえる熊本の絶景を、旅人になった気分でお楽しみください。
令和7年度夏季展
文房四宝と喫煙具の美(仮)
「百壽散らし象牙紫檀軸筆」 永青文庫蔵
会期 2025年7月5日~8月31日
休館日 毎週月曜日(ただし7/21・8/11は開館し、7/22・8/12は休館)
開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
「文房」とは、中国の文人が詩作や読書にふけるための書斎を意味し、そこには彼らの高い教養を反映した様々な道具「文房具」が揃えられていました。
特に筆・紙・硯・墨は重要視され、「文房四宝」と呼ばれます。
そうした文房四宝を愛好したのが、永青文庫の設立者・細川護立(ほそかわもりたつ、1883~1970)です。
護立は、禅画や刀剣、日本近代絵画の収集知られますが、中国の陶磁器や仏像にも関心を広げ、文房具も収集しました。
1972年に開催された「永青文庫開館記念展」では、護立の中国美術コレクションから文房具が多く紹介されており、細川家で重視された分野であったことがうかがわれます。
本展では、永青文庫が所蔵する中国の文房具について調査を行い、改めてその魅力を紹介します。
また2階展示室では、煙草入れなどの喫煙具を特集展示します。
煙草入れは、きざみ煙草を持ち歩くための入れ物で、江戸時代に喫煙が一般化すると携帯に適した様式が確立しました。
多様な技法や珍しい素材を用いた豊かな装飾をご覧ください。
令和7年度秋季展
重要文化財「黒き猫」修理完成記念
永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―(仮)
重要文化財 菱田春草「黒き猫」明治43年(1910)
永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)※半期展示
会期 2025年10月4日~11月30日 ※会期中、大幅な展示替えあり
休館日 毎週月曜日(ただし10/13・11/3・11/24は開館し、10/14・11/4・11/25は休館)
開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
重要文化財「黒き猫」は、36歳の若さで夭折した画家・菱田春草が晩年に残した代表作の一つとして知られています。
永青文庫の設立者・細川護立は、春草をはじめ同時代の日本画家たちにいち早く注目し、彼らの作品を積極的に蒐集しました。
当館に伝わる護立の近代日本画コレクションのなかでも、「黒き猫」は不動の人気を誇る作品です。
この度、クラウドファンディングでのご支援と、国・東京都・文京区からの補助により、初めて本作の本格的修理が行われました。
修理完成を記念した本展では、「黒き猫」や「落葉」(重要文化財)など当館が所蔵する春草作品全4点を期間限定公開するほか、横山大観、下村観山、鏑木清方といった近代日本を代表する画家たちの優品を一堂に展覧します。
あわせて、中国の禅僧・清拙正澄(せいせつしょうちょう)と楚石梵琦(そせきぼんき)による墨蹟2点(いずれも重要文化財)を修理後初公開します。
令和7年度早春展
石からうまれた仏たち(仮)
重要文化財「菩薩半跏思惟像」
中国 北魏時代(6世紀前半) 永青文庫蔵
会期 2026年1月17日~3月29日
休館日 毎週月曜日(ただし2/23は開館し、2/24は休館)
開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
2019年1月~4月に開催し好評だった「石からうまれた仏たち」展。
永青文庫の東洋彫刻コレクションを一挙公開した同展が、一部内容を変更して新たに開催されます。
当館の設立者である細川護立は幼少期から漢籍に親しみ、渡欧を機に東洋美術を広く蒐集し始めました。
中国考古や陶磁器ばかりではなく、中国の石仏・金銅仏、インドや東南アジアの彫刻をもコレクションに加えています。
とりわけ北魏から唐時代におよぶ中国彫刻は、近代日本においていち早く中国美術を紹介・蒐集した早崎梗吉(はやさきこうきち、1874~1956)の旧蔵品が大半を占め、各時代の特徴を表した重要な像が多く含まれます。
本展では「菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしいぞう)」や「如来坐像(にょらいざぞう)」(いずれも重要文化財)をはじめとする中国彫刻のほか、多種多様なインド彫刻を7年ぶりに公開します。
永青文庫
住所 東京都文京区目白台1丁目1-1
休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)、展示替期間、年末年始
※状況により、臨時に休館や開館時間の短縮を行う場合あり
開館時間 午前10時~午後4時30分(最終入館時間午後4時)
入館料 展覧会により異なる
※令和6年度早春展 「細川家の日本陶磁 河井寬次郎と茶道具コレクション」が2025年1月11日(土)~4月13日(日)の会期で開催されます。
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