アート

Posted on 2025-05-29
夏の絵画 《浜辺の子どもたち》ホアキン・ソローリャ(1910年)


ホアキン・ソローリャは1863年、スペイン・バレンシアに生まれた。

幼くして両親をコレラで亡くし、叔父夫妻に育てられる。

バレンシアの美術学校で学び、その後マドリードやローマに留学。

イタリアでは古典絵画に触れつつも、フランス印象派の影響を強く受ける。

1890年代から国際的に評価され、パリ万国博覧会やアメリカでの個展で絶賛される。

1909年のニューヨークでの展覧会展では百点以上の作品を展示し、大きな成功を収めた。

1923年、60歳のとき病気のため、マドリードで亡くなった。

「光の画家」と称されるほど、光と色彩の扱いに優れた画風で知られる。

☆   ☆

画風の特徴をいくつか解説しよう。

  1. 光と影の達人

強いスペインの陽光を写し取ったような明るい画面構成が特徴だ。

特に地中海の浜辺を描いた作品では、光が肌や衣服、水面に反射する様子が生き生きと描かれる。

  1. 写実と印象主義の融合

ソローリャは、フランス印象派の影響を受けつつも、写実的な細部描写を捨てなかった。

ブラッシュストローク(筆触)は軽やかで素早く、同時に対象の本質を捉える観察眼も鋭い。

  1. 家族や風俗への愛着

妻クロティルデや子どもたちを頻繁に描き、家庭的な愛情を感じさせる。

地中海の漁師や農民の生活、スペイン各地の民族衣装を身につけた人物なども題材とした。

  1. 大型壁画「スペインの風景と風俗」

アメリカの実業家ハンティントンの依頼で、ニューヨークのヒスパニック協会のために制作した全長70メートル超の連作壁画は、スペイン各地の民族と風景を鮮やかに描いた。


まとめ

太陽の光をキャンバスに閉じ込めたような明るさと、生きることへの賛歌を感じさせるのが、ホアキン・ソローリャ作品の魅力である。

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