アート

Posted on 2011-09-23
「生誕130 年 松岡映丘 日本の雅―やまと絵復興のトップランナー」練馬区立美術館で開催 


Writer:蓬田(よも)修一

「生誕130 年 松岡映丘 -日本の雅-やまと絵復興のトップランナー」が、東京・練馬区立美術館を会場に、2011 年10 月9 日(日)~11 月23 日(水・祝)の会期で開催されます。

兵庫県に生まれた松岡映丘(まつおか えいきゅう 1881~1938)は儒学者の父、民俗学者の柳田國男をはじめ、歌人、言語学者らを兄にもつ学者一家に育ちました。

東京美術学校を首席で卒業、平安・鎌倉期の絵巻物や有職故実を丹念に研究し、『源氏物語』をはじめとした古典文学に取材した王朝貴族、鎧武者たちを優美に、叙情豊かに描き、やまと絵の再興に努めています。

しかし、その表現は古典だけにはとどまらず、近代的な造形感覚を加味した「新興大和絵」を展開していきました。

そうした成果が《右大臣実朝》へと結実し、初代水谷八重子をモデルとした《千草の丘》で、よりモダンな作品へと花開いていきます。

「古典の教養に立脚して時代に生きよ」と弟子たちに語った言葉はまさに映丘の画業そのままを表している言葉といえるでしょう。

30 年ぶりの大規模な回顧展となる本展では、映丘16 歳の最初期の作品から晩年にいたる約70 点の作品に加えて、映丘の生家に残されたスケッチ、画稿類合わせて20 点余りを展示し、その画業を紹介するものです。

《宇治の宮の姫君たち》 6 曲1 双(右隻) 大正元年(1912)姫路市美術館蔵

《宇治の宮の姫君たち》 6 曲1 双(左隻) 明治45・大正元(1912) 姫路市立美術館蔵

展覧会の見どころ

松岡映丘という日本画家、知名度はいまひとつなのかもしれません。

しかし、《千草の丘》、《伊香保の沼》、《右大臣実朝》のような幾つか作品はきっと見覚えあるものに違いありません。

柳田國男を兄にもつという出自、山口蓬春・橋本明治・杉山寧・高山辰雄ら次代の日本画壇をリードする人材を育てた教育者としての一面が映丘の人物像に厚みを増すものです。

『源氏物語』 などに古典文学に取材して描かれた王朝風俗は、古来よりのやまと絵の流れを汲むもので、優美で雅やか、世の女性たちに愛されるものでしょう。

一方で、芝居や映画が大好きであった映丘らしく、その表現は古典にこだわることはなく、モダンな要素を意欲的に取り入れています。

この展覧会ではことにそうした部分に焦点を当てるべく、ポスターやチラシ等で《千草の丘》を取り上げました。

この作品は当時の大スター、初代水谷八重子をモデルに描かれたもので、完成時には大きく新聞に取り上げられるほどでした。

今年は折しも彼女の33 回忌に当り、娘である当代水谷八重子(水谷良重)さんもこの展覧会に大変興味を示されております。

会期中は講演会や演奏会などのイベントも予定しています。

《千草の丘》絹本着色 大正15 年(1926)

《右大臣実朝》昭和7 年(1932)絹本着色 日本芸術院蔵 (会期中展示替えあり)

展覧会概要

○タイトル : 生誕130 年 松岡映丘 -日本の雅-やまと絵復興のトップランナー
○会期 : 平成23 年10 月9 日(日)~11 月23 日(水・祝)
○会場 : 練馬区立美術館
○休館日 : 月曜日(ただし、10 月10 日は開館、翌日休館)
○開館時間 : 午前10 時~午後6 時 ※入館は午後5 時30 分まで
○主催 : 練馬区立美術館・日本経済新聞社
○観覧料 : 一般500 円、高大学生及び65~74 歳300 円、中学生以下及び75 歳以上無料(その他各種割引有)

練馬区立美術館 WEBサイト

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