アート / マーケティング
Posted on 2017-05-15
【レビュー】驚きの見世物小屋ワールド
貴重な安田里美「人間ポンプ」映像
昭和の中頃まで、全国各地のお祭りや縁日には、見世物小屋が建ちました。大きなお祭りなどになると、複数の見世物小屋が建ったものです。
有名な見世物小屋の演目は、人間ポンプやたこ娘など。小屋の入口では、人々の“怖い物見たさ”に訴える呼び込みがなされ、小屋の中へと誘い入れました。
こうした見世物小屋に焦点を当てた展覧会(特集展示「見世物大博覧会 現代編」)が、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で開催中です(会期:2017年4月18日(火)~7月17日(月祝))。
会場には、実際の見世物小屋で使用されていた絵看板やディスプレーなどが展示されています。
中でも注目は、安田里美(大正末期から現在まで続く安田興行社の2代目)が演じる「人間ポンプ」の映像放映。飲み込んだ金魚を、釣り針を使って釣り上げる芸など、安田里美の往年の芸が見られる貴重な映像です。
見世物小屋に入ったことのある年配の人にとっては懐かしく、見世物小屋を知らない世代の人にとっては驚きの展覧会だと言えるでしょう。
マーケティングやイベントの仕事に関わる人には、かつて行われていた見世物小屋という歴史的事実を通して、新たなヒントやインスピレーションが湧いてくるかもしれません。
また、展示されている絵看板や資料は、今見るとデザインがとても魅力的です。イラストレーターなどのビジュアル関係の人にとっても見応えある展示品が並んでいます。
会場への入口には、「入口」と縫い込まれたクグリ(入口幕)がかかっています。実際に使われていたものです。中央が割れていて、チラリと中を見ることができます。
入場料金が書かれた掲出物も、実際に使われていたもの。和服姿の女性は、安田興行社の安田春子が呼び込み口上を行っているところ。
実際に掲出されいた絵看板の数々。いずれも看板絵師の志村静峯の作品です。
左は「マキツギ」。「マキ」はヘビ、「ツグ」は食べる、あるいは使うという意味です。女性がヘビを食いちぎったり、鼻から入れて口から出す見世物。
右は、安田里美の持ち芸「気合術」。腕に通した針でバケツを振り回したり、目にボタンを入れてバケツを吊り上げたり、体中にハリを通すといった荒技です。
右下は写真ではちょっと分かりにくいのですが、割ったビール瓶の上に横たわり、腹の上の石を割る芸の絵です。
上にかかっている絵看板は「猿犬サーカス」です。
特集展示「見世物大博覧会 現代編」
会期 2017年(平成29年)4月18日(火)から7月17日(月・祝)まで
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室 副室
観覧料 一般420円(350円)、高校生・大学生250円(200円)、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※総合展示もあわせて観覧できます。
※毎週土曜日は高校生は入館無料
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