アート
Posted on 2014-10-02
古き良きフランスの愛書文化「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」
Editor:宮川由紀子
2014年9月21日(日)から2015年3月29日(日)まで、箱根・仙石原のポーラ美術館で「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」が開催中です。
20世紀絵画において冒険を試みたシャガール、マティス、ミロ、ダリをはじめとする画家たちは、版画の技法による、豪華な挿絵本の制作にも取り組みました。
19世紀末から20世紀中盤にかけて成熟を極めたさまざまな版画の技法を活かし、物語や詩、もしくは言葉の断片と響きあうように、無数の紙片により広がるイメージの宇宙が生み出されました。
本展覧会では、ポーラ美術館のコレクションの中から挿絵本の黄金期にきらめく代表作をひもとき、初公開の挿絵を含む51点の挿絵本と、関連する絵画作品が紹介されます。
「絵画」と「書物」の出逢いが堪能できる本企画展に、ぜひ足を運んではいかがでしょうか。
見どころは次のとおりです。
20世紀美術の巨匠たちと文学 ―「書物」は具現化された美の結晶
ポーラ美術館のコレクションから、貴重な挿絵本、約50冊が一挙に公開されています。20世紀の巨匠たちの版画による挿絵本制作の試みを概観することができます。
画家たちが文学と対話し、書物を舞台としてテキストとイメージを個性豊かに融合させて紡ぎだした、紙上の総合芸術―紙片の宇宙が楽しめます。
「芸術家による挿絵本」―古き良きフランスの愛書文化
「芸術家による挿絵本」(リーヴル・ダルティスト)は、フランスで19世紀末から20世紀中盤にかけて隆盛した版画の出版物です。
美術作品の普及を目ざした画商や出版者の依頼により、画家たちは古典文学や同時代の詩人の作品などから原作を選び、あるいは自らテキストを書き、版画技法による挿絵を制作しました。
「芸術家による挿絵本」は、20世紀後半に写真印刷が版画を席捲し、芸術家が文学との対話や書物の形式にこだわらなくなったことから、衰退の途をたどりました。いまでは、20世紀前半のパリ画壇の隆盛と古き良きフランスの愛書文化を伝える、貴重な形式の芸術作品といえるでしょう。
●「芸術家による挿絵本」とは
「芸術家による挿絵本」は、古くから存在する挿絵専門の職人や挿絵作家の手による挿絵入りの書物とは異なります。
画家や彫刻家が下絵を描き、腕利きの職人がその下絵をもとに版画を制作したほか、版画技法を習得した芸術家自身が関わる場合もありました。
数十部から約四百部程度の限定部数のもと、時には画家による自筆のサインが記され、紙、インク、活字、挿絵、ページレイアウト、表紙デザイン、版画技法にこだわった稀少な豪華本です。
芸術家による挿絵本は、世界各国の美術愛好家や愛書家たちのコレクションに入り愛蔵されています。
紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本
会期 2014年9月21日(日)から2015年3月29日(日)まで
※会期中無休、ただし2015年1月21日(水)は休室)
※会期中一部展示替えあり。
〔前期〕2014年9月21日(日)から2015年1月20日(火)まで
〔後期〕2015年1月22日(木)から2015年3月29日(日)まで
会場 ポーラ美術館 展示室1・3
入館料 大人1800円(1500円)、シニア割引(65歳以上)1600円(1500円)、大学・高校生1300円(1100円)、中学・小学生(土曜日無料)700円(500円)
カッコ内は15名以上の団体料金。
その他詳細は本展覧会公式サイトでご確認ください。
以下は9月25日に実施されたプレスデーでの会場のもようです。
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