アート

Posted on 2022-07-01
国立新美術館が開館15周年 逢坂恵理子館長メッセージ




逢坂恵理子館長


 
国立新美術館(東京・六本木)は、2022年1月21日に開館15周年を迎えました。

このほど、同館の逢坂恵理子館長より開館15周年にあたってのメッセージが発表されました。そのメッセージをご紹介します。

国立新美術館は、2007年1月21日に開館し今年で15周年を迎えました。

この15年間、ダイナミックな展示を可能とする当館の特徴を生かし、2007年の開館以来、100展を超える企画展と1000展を超える公募展を開催して、総計3400万人の方々にご来館いただきました。

国立新美術館をご支援くださいました皆様に、改めて心より御礼申し上げます。

一方、社会状況と美術館を取り巻く環境はこの15年間で激変しました。

リーマンショック(2008)など政治・経済情勢の変化、東日本大震災(2011)など巨大化する自然災害、令和に入ってノートルダム大聖堂や首里城などの文化財火災(2019)、東京オリンピック2020無観客開催(2021)など枚挙にいとまがありません。

新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、この2年間は、美術館の休館や展覧会の延期、中止も相次ぎました。

15周年の今年は、若い世代を視野に入れた新しいプロジェクトを開始します。

「NACT View」 はパブリックスペースを使った若手・中堅作家によるシリーズ展示です。

「NACT YOUTH PROJECT 2022 新美塾!」は10代のための「表現」を学ぶ異色のワークショップです。

タムラサトルの展示は、子供から大人まで幅広い世代に気楽に立ち寄り楽しんでもらえるよう観覧無料としました。

今年は、展覧会や作家についての理解を深めてもらうために、多彩な教育プログラムも用意しました。

ルートヴィヒ美術館展では、作品展示とともにゲスト講師を迎えて絵画について深く問い直す講座を実施します。

また、15周年記念の企画展として李禹煥の大回顧展を8月より開催します。

美術をイメージや主題、意味の世界から解放し、ものともの、ものと人との関係を問いかけてきた李氏の作品は、人間中心主義の世界観に新たな観点をもたらしてくれるでしょう。

ロシアによるウクライナ侵攻により、更に先行きが見えない現在、私たちは複雑な社会において、美術館が多様性への気づきや他者への理解を促す場として機能すべきであると考えます。

国立新美術館では、アーティストの思考や表現を介して、ご来館の皆様自らが参加し、感じ、考える場を提供してまいります。

2022年6月
国立新美術館長 逢坂恵理子
 
 
         




 

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