アート

Posted on 2024-08-16
「追悼 野見山暁治 野っ原との契約」最初期から晩年まで野見山暁治の画業を通覧


《崖》1961年 油彩・キャンバス 練馬区立美術館蔵(前期展示)

絶筆作品を含む約80点で画業の軌跡をたどる

練馬区立美術館で、画家・野見山暁治(1920-2023)の業績を同館コレクションを中心に振り返る展覧会「追悼 野見山暁治 野っ原との契約」が開催されます。

練馬区内に長くアトリエを構え、名誉区民でもあった野見山は2023年6月に逝去しました。

福岡県の炭坑経営者の家庭に育ち、東京美術学校を繰り上げ卒業して旧満州に出征しました。

終戦後、故郷での活動を経てフランスに留学。在仏中に安井賞を受賞し、その後、徐々に抽象的な表現へと変化します。

また、母校の東京藝術大学教授として学生の指導と入試改革に力を注ぐとともに、自身の戦争体験から、戦没画学生の慰霊美術館である「無言館」の設立にも尽力しました。

本展では、池袋モンパルナスで過ごした東京美術学校時代から、戦後の炭坑や骸骨といった具象的なイメージを描く時期を経てフランス留学にいたる【前期】と、帰国後、自然や身近な事物をモチーフに独自のイメージを展開させ追究し続けた晩年までの【後期】に分けて展観します。

絶筆作品を含む油彩画や版画、ドローイングおよび関連資料等、前・後期を合わせた約80 点を通じて、野見山の画業の軌跡を辿ります。

あわせて、野見山の暮らしと制作の拠点となったアトリエの風景にも焦点をあてます。

 

野見山にとって「野っ原」とは?

野見山は子供の頃から「野っ原」のただなかで絵を描くことに喜びを感じていたといいます。

「野っ原」とは野見山にとってアトリエの原風景というべき場所ですが、また同時に「実のところ絵も風化しなくちゃいけない。それが野っ原との契約だ」とも述べています。

野見山が考えた「野っ原」との契約とはどういうものだったのか?

その答は、野見山が描いた作品のなかに込められているに違いありません。

 

会期前期はフランス留学まで、後期は帰国後から晩年までの作品を紹介

前期は、野見山の画業の最初期からフランス留学時代までの作品を紹介します。

野見山の作品は、第二次世界大戦への従軍の前後に、西洋への憧れをもって描いた暗い色調による構築的な風景画や静物画などから、渡仏後の自由な線描と明るい色面の組み合わせによるイメージへと展開しました。

作風の変容から、野見山が時代の変化にさらされながら、独自の制作方法を模索する姿に迫ります。

後期は、日本への帰国後から晩年までの作品を紹介します。

野見山は、帰国後、山や海など自然のダイナミックな動きを、独自の視点で切り取り画布に定着させていきます。

晩年まで制作意欲は衰えることなく、大胆な筆致と繊細でゆたかな色彩による、独自のイメージの世界の探求を続けました。

追悼 野見山暁治 野っ原との契約
会期
 2024年10月6日(日)~12月25日(水)
【前期】10月6日(日)~11月10日(日)
【後期】11月12日(火)~12月25日(水)
会場 練馬区立美術館 2階展示室
開館時間 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日 月曜日(ただし、10月14日(月・祝)、11 月4日(月・休)は開館、10月15日(火)、11月5日(火)は休館)
展示作品数 約80点(前後期を含む)
観覧料 一般500円、高校・大学生および65~74歳300円、中学生以下および75 歳以上無料(その他各種割引制度あり)
※一般以外の方(無料・割引対象者)は、年齢等が確認できるものをお持ちください。
※リピーター割引:展覧会の半券をお持ちいただくと各種料金から割引となります。一般300円、高校・大学生および65~74歳200円、中学生以下および75歳以上無料(その他各種割引制度あり)




《半身像》1956-58年 グワッシュ、ペン、インク・紙 練馬区立美術館蔵(前期展示)

 

《海坊主誕生》1978年 油彩・キャンバス
練馬区立美術館蔵(後期展示)

 

《ある日》1982年 油彩・キャンバス 練馬区立美術館蔵(後期展示)

 

野見山暁治の練馬のアトリエ風景 2024年 撮影:名和真紀子

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