アート

Posted on 2019-05-28
「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―― 線の魔術」彼が後世へ与えた影響も紹介


アルフォンス・ミュシャ 《モナコ・モンテカルロ》 1897年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©MuchaTrust 2019 


ミュシャ作品はもとより、彼に影響を受けたロック音楽レコードジャケット、日本のマンガ家やグラフィックアーティストの作品など約250点を一挙展示
2019年(令和元年)7月13日(土)から9月29日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―― 線の魔術」が開催されます。

アルフォンス・ミュシャ(1860~1939)は19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活躍し、アール・ヌーヴォーの旗手として名を成しました。彼の優美で繊細な作風は、日本はもとより世界中でいまなお、高い人気を誇っています。

今回の展覧会は、彼の没後80年という節目の年に、ミュシャの作品とともに、彼が後世へ与えた影響をたどるものです。

ミュシャが手がけたポスターなどのグラフィック作品はもとより、彼の作品に強い影響を受けた日本の明治期の文芸誌、1960年代を中心にアメリカ西海岸やロンドンで一大ムーヴメントを巻き起こしたグラフィックアート作品、そして、日本のマンガ家やグラフィックアーティストの作品などおよそ250点が展示されます。

会場の構成は次のとおりです。

1. ミュシャ様式へのインスピレーション
2. ミュシャの手法とコミュニケーションの美学
3. ミュシャ様式の「言語」
4. よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンター・カルチャー
5. マンガの新たな流れと美の研究

前半では「ミュシャ様式」の成立の過程とその背後のミュシャのデザイン論が、時代的背景やアール・ヌーヴォーなどのヨーロッパの美術運動の流れの中で考察されます。

そして後半では、ミュシャ自身の作品とともに、彼のスタイルから影響を受けた20世紀後半の日英米のグラフィック・アーティストやデザイナーたちの作品があわせて展示されます。

見どころのひとつは、1960~70年代の英米で起きたミュシャ・リバイバルとサイケデリック・アートとの視覚的な相関が、ロック音楽のポスターやLPレコードのジャケット等を通して検証されることです。

最終セクションでは、ミュシャの耽美的作風に影響を受けながら、1970~80年代に頭角を現す日本のイラストレーターや少女マンガ家たちの作品が紹介されます。

なお本展覧会は、Bunkamura ザ・ミュージアムでの開催終了後、国内5会場で巡回開催されます。

みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―― 線の魔術
会期
 2019年(令和元年)7月13日(土)から9月29日(日)まで
会場 Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料 一般1600円(1400円)、大学・高校生1000円(800円)、中学・小学生 700円(500円)
※(  )内は前売および20人以上の団体料金

巡回情報
[ 京都展 ]

2019年10月12日(土)~2020年1月13日(月・祝)/京都文化博物館
[ 札幌展 ]
2020年1月25日(土)~4月12日(日)/札幌芸術の森美術館
[ 名古屋展 ]
2020年4月25日(土)~6月28日(日)/名古屋市美術館
[ 静岡展 ](予定)
2020年7月11日(土)~9月6日(日)/静岡県立美術館
[ 松本展 ]
2020年9月19日(土)~11月29日(日)/松本市美術館

アルフォンス・ミュシャ 《舞踏―連作〈四芸術〉より》 1898年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019 

アルフォンス・ミュシャ 《黄道十二宮》1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©MuchaTrust2019 

パリ、 グランド・ショミエール通りのアトリエにて (セルフポートレート)1892年 ©Mucha Trust 2019 

展覧会 注目ポイント1
ロックがアートワークに与えた影響

1963年、ヴィクトリア&アルバート博物館で開催された回顧展を契機にミュシャは再評価されました。

それはスウィンギン・ロンドン時代の若者たちだけでなく、ベトナム戦争への反戦運動から生まれたフラワー/ヒッピー・ムーヴメント~ラヴ&ピースに湧くアメリカの若者たちの間でも、魅力的なデコラティヴ・アートとして同時に再発見されることになりました。

なかでもそれが顕著に表れたのが、ロックアルバムのアートワークやコンサートポスターです。イギリスではイエス、ホークウィンド、ザ・ローリング・ストーンズのアルバムなどに、多くの画家やイラストレーターが競ってミュシャ風の作品を提供しました。

アメリカではフィルモア・イースト(ニューヨーク)とウエスト(サンフランシスコ)という伝説のライヴハウスを中心に、数々の傑作ポスターが生まれました。

ジャケット・デザイン:ボブ・マス「ザ・コレクターズ」(ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ・レコード)1968年LPレコード・ジャケットRhino Entertainment Company,a Warner Music Group Company 

ジャケット・デザイン:クレイグ・ブラウン「ジプシー」(メトロメディア・レコード)1970年 LPレコード・ジャケット James Walsh and Jan Rangel/Gypsy Family Productions 

ジャケット・デザイン:トム・ウィルクス「フラワーズ」(ザ・ローリング・ストーンズ/ロンドン・レコード)1967年 LPレコード・ジャケット “Flowers”by The Rolling Stones.Original Photography by Guy Webster.Original Graphics by Tom Wilkes.Courtesy of ABKCO Music&Records,Inc. used by Permission.All rights reserved. 

ジャケット・デザイン:リック・グリフィン「オクソーモクソア」(グレイトフル・デッド/ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ・ レコード)1969年 LPレコード・ジャケット Grateful Dead:Live(1971),Aoxomoxoa(1969)and Blues For Allah(1975)Album Covers Courtesy of Warner Bros. Records 

展覧会 注目ポイント2
ミュシャに影響を受けたマンガ家たちの作品

今回の展覧会でミュシャ作品と並び「目玉」といえるのが、ミュシャに影響を受けた日本の文芸誌やマンガ、イラストの数々です。

これらの選定には、同展監修者の佐藤智子(ミュシャ財団キュレーター)、同展アドバイザーの大塚英志(国際日本文化研究センター教授)があたりました。

明治時代の歌人・与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の表紙には、1896年にミュシャが描いたポスター《黄道十二宮》からの影響を見ることができます。この『みだれ髪』が発行されたのは1901年なので、ほぼ同時代にミュシャの作品が日本にも大きな影響を与えていたことがうかがえます。

また、天野喜孝ら日本を代表するグラフィック・アーティストやマンガ家の作品も数多く会場に並びます。

天野喜孝 《ファイナルファンタジーXIV 嵐神と冒険者》 2010年 アクリル・紙
FINAL FANTASY XIV/©SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved./IMAGE ILLUSTRATION:©YOSHITAKA AMANO 

花郁悠紀子「不死の花」(『プリンセス』 1979年8月号)1979年 丸ペン、墨汁・上質紙 ©Yukiko Kai 

水野英子「オンディーヌ」(レコード音楽劇 「星のオンディーヌ」 折込ポスター用イラスト)1981年 開明墨汁、水彩、ポスターカラー・ミューズコットン紙 ©水野英子  

山岸凉子《真夏の夜の夢》「アラベスク」(『花とゆめ』1975年4月9号付録ポスター用イラスト)1975年 カラーインク・紙 ©山岸凉子 




■■■■ たくさんのご応募ありがとうございました。締め切りました「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ― 線の魔術」(東京展)招待券プレゼント■■■■


「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ― 線の魔術」の開催を記念して、Bunkamura ザ・ミュージアムで使用できる招待券をMedia & Communication読者の5組10名様にプレゼントいたします。

以下のフォームより、お名前、メールアドレス、ご住所をお書きになり、ご応募ください。

締め切りは、2019年7月12日24時です。

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