アート

Posted on 2021-10-16
【レビュー】「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」



右の作品は《御旗》(昭和11年)。叉銃(さじゅう、銃口付近を頂点にいくつもの銃を組み合わせ三角錐状にすること)軍旗が立てかけられ、その傍らで歩哨兵が夜営を守る。その左の作品は《護国》(昭和9年)。国を守るため、大陸で戦っている兵士たちが焚き火をして暖を取っている姿を描く。戦地における焚き火は、敵の目標となるため、とても危険であった

再評価されつつある日本画家
小早川秋聲(こばやかわ しゅうせい)という画家をご存じでしょうか? 大正から昭和にかけて、京都を中心に活躍した日本画家です。

僧籍を持ち、国内のみならず十数か国を旅し、戦争期間は従軍画家としても活躍して素晴らしい作品を数多く残しました。

戦後は敗戦までの名声とは裏腹に静かに暮らすようになり、いつしか忘れられた存在となってしまいました。

それが、戦後五十年経った頃から再評価の機運が高まります。展覧会に作品が出品されたり、雑誌に掲載されていくようになりました。

今回は、そんな秋聲の初めての大規模な回顧展です。

初期の歴史画から、初公開の戦争画、晩年の仏画まで百余点の作品で、秋聲の画業を見渡します。

展示構成
1 はじまり 京都での修業時代
2 旅する画家 異文化との出会い
3 従軍画家として 《國之楯》へと至る道
4 戦後を生きる 静寂の日々
  
 
小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌
Kobayakawa Shusei: A Life of Journey and Requiem

会期 2021年(令和三年)10月9日(土)から11月28日(日)まで
会場 東京ステーションギャラリー
休館日 月曜日(11/22は開館)
開館時間 10時~午後6時(金曜日は午後8時まで開館)※入館は閉館30分前まで
入館料 一般1100円、高校・大学生900円、中学生以下無料
※障がい者手帳等持参の方は100円引き(介添者1名は無料)
※入館券は原則として日時指定の事前購入制(ローソンチケットで販売)
※ローソンチケットの残数に余裕のある場合に限り美術館で当日券を販売
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催内容が変更になる場合があります
 
※写真は10月8日に行われたプレス向け内覧会で撮影
 

《未来》(大正15年)
この作品を描いた前年に生まれた長女和子がモデルといわれている。秋聲の娘に寄せる愛情と、娘の未来を思う気持ちが伝わってくるようだ

奥の壁中央には《凱陣》(昭和5年)。軍馬を描く。ある漢詩から着想を得て描かれた。それは、戦地から故郷に凱旋した兵士は歓待を受けるのに、ともに戦火をくぐり抜けた軍馬は埃まみれで野に放たれている。村人はそんな軍馬を花で飾り労を労ったという内容だ。疲労困憊で首をうなだれている姿が痛々しいが、牡丹で飾られ、戦果を労われているので、馬も喜んでいるだろう。兵士と馬は一体。そのことを村人が知っているのが素晴らしい

左に見えているのは《恋知り初めて》(大正期 個人蔵)。絹ではなくキャンパスのような素材に描かれている。緑色の背景は、点描風。その右にある小さな作品は、秋聲が山陰に旅行したときに描いた小品を集めた《裏日本所見畫譜》(大正7年 個人蔵)の一部


 

《虫の音》(昭和13年)
戦地で兵士がぐっすりと眠り込む様子が描かれている


 

右に見えているのは《日本刀》(昭和15年)。皇紀二千六百年を祝う大毎日本画展への出品作。
奥に見えているのは《國之楯》(昭和19年、昭和43年改作)。秋聲の作品では最も有名なものだろう。頭部には寄せ書きされた日章旗がかけられており、頭部の後ろにはうっすらと円光が見える。この作品の手前に展示されているのは《國之楯》の下絵


 

戦後描かれた作品たち。右から《不動明王》(昭和44年)《慈光》(昭和44年)《迎寿》(昭和22年)《天下和順》(昭和31年)


 
        




 
 

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