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Posted on 2022-07-21
国芳作品などで「水滸伝」の世界を楽しむ! 国立歴史民俗博物館




葛飾北斎『忠義水滸伝画本』より「浪裡白跳張順」他 文政12年(1829年) 国立歴史民俗博物館蔵

江戸末期の大衆文化に大きな影響
国立歴史民俗博物館(佐倉市)で、特集展示「もの」からみる近世「水滸伝ブームの広がり」が、2022年(令和四年)8月3日から9月4日まで開催されます。

中国の小説『水滸伝』は江戸初期に伝来し、漢学者たちの間で関心を持たれていましたが、岡島冠山(おかじまかんざん)による翻訳『通俗忠義水滸伝』(宝暦7~寛政2年・1757~90年)の刊行や、より読みやすい挿絵入りの読本や草双紙化したものが出版されるなどして、次第に読者層を拡大していきます。

舞台設定を日本に変えた山東京伝(さんとうきょうでん)の『忠臣水滸伝』、曲亭馬琴(きょくていばきん)の『傾城水滸伝』や『南総里見八犬伝』なども生み出されました。

こうした大衆的レベルでの水滸伝ブームは浮世絵の世界にも波及し、文政(1818~30年)末期に出た歌川国芳の錦絵シリーズ「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり)」は武者絵というジャンルの流行に大きな役割を果たします。

ほかにも『水滸伝』は、狂歌や見世物などさまざまな分野で題材とされただけでなく、そのイメージは江戸末期の侠客や博徒を描く講談や浮世絵に重ねられていきます。

このように『水滸伝』は江戸末期の大衆文化をかたちづくる豊かな土壌となったのです。

本展では、冠山訳『通俗忠義水滸伝』のほか、『水滸伝』を扱った葛飾北斎ら浮世絵師たちの版本、『水滸伝』の豪傑たちを描く国芳らの錦絵、幕末の侠客物(きょうかくもの)への波及作などを展示して、江戸時代末期の大衆文化における水滸伝ブームの広がりを垣間見ていきます。
 
 
特集展示「もの」からみる近世「水滸伝ブームの広がり」
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
会期 2022年(令和四年)8月3日(水)から9月4日(日)まで
休館日 月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)
※8月15日(月)は開館
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
料金 一般600円、大学生250円、高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者とともに入館無料です。
※高校生および大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑に入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
 
 

歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)」より「花和尚魯知深初名魯達」 文政10年(1827年)頃 国立歴史民俗博物館蔵


 
 

一恵斎芳幾 松本喜三郎の生人形 安政3年(1856年) 国立歴史民俗博物館蔵


 
 
         




 

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