アート
Posted on 2022-08-05
日常にひそむ神秘を描き出した銅版作家 長谷川潔
パリで創作活動をして高い評価を得た銅版画家
町田市立国際版画美術館で「長谷川潔 1891-1980展 -日常にひそむ神秘-」が開催中です(会期:2022年(令和四年)7月16日(土)~9月25日(日))。
長谷川潔は1910年代なかばに、文芸同人雑誌『仮面』の版画家として創作活動を開始し、1918年に日本を去って以来、パリを拠点に活動した銅版画家です。
サロン・ドートンヌやフランス画家・版画家協会に所属して、パリの画壇で高く評価されたほか、フランスでは文化勲章、日本では勲三等瑞宝章を授与されるなど、芸術家としての功績が讃えられています。
町田市立国際版画美術館では2018年度に、長谷川潔の展覧会を開催しました。
本展はその展覧会をベースに、最初期の作品から1970年代の銅版画までを年代順に展示するとともに、関連作家の作品も展示、全体を約165点で構成しています。
深い精神性が反映された長谷川潔の深遠な表現世界に触れられる展覧会です。
第Ⅰ章(プロローグ)
日本時代 文芸雑誌『仮面』の画家 1913-1918
長谷川潔が画家を志し、版画の制作を始めたのは1912年でした。日本を去る1918年まで、美術文芸雑誌『仮面』同人の版画家として活動した時期の作品を紹介します。
第Ⅱ章
フランスで銅版画家として立つ 1919-1941
フランスに渡り、表現を模索しつつ創作活動を開始してから、南仏の風景や神話に登場するヴィーナスのような女性像、机上の静物などを描きつつ独自の表現を確立するまでの作品を紹介します。
その間にメゾチント(マニエール・ノワール)という版画の古典技法を研究し、現代版画の技法として蘇らせています。
第Ⅲ章
仏訳『竹取物語』 1934(1933)
1934年に完成した挿絵本、仏訳『竹取物語』を紹介します。 本野盛一(パリの日本大使館勤務の外交官)によるフランス語のテキストと、長谷川によるエングレーヴィングの挿絵が共鳴し、日本の伝統性と西洋文化が融合した近代挿絵本の傑作といえるでしょう。
第Ⅳ章
日常に神秘を視る 1941-1950年代末
長谷川潔は第二次世界大戦中に、見慣れた1本の樹が不意に人間と同等に見えるようになり、万物は同じだと気づいて以来、自分の絵は変わったと書き残しています。
本章では、それ以後の、日常にひそむ神秘を表現し、身の回りの深遠な世界のひろがりを描き出そうとした静物画や風景画などを紹介します。
第Ⅴ章
精神の高みへ 「マニエール・ノワール」の静物画 1950年代末~1969
長谷川潔は1950年代末から60年代末まで、細粒な点刻で下地をつくり、漆黒のなかからモティーフを浮かび上がらせる「マニエール・ノワール」(メゾチント)による静物画を多数制作しました。
それらは、あらかじめ意味を与えたオブジェや草花、小鳥などを意図に従って構成することで深遠な精神世界を探求した静物画で、長谷川の表現世界の到達点として位置づけられています。
第Ⅵ章(エピローグ)
長谷川潔自身が技法と表現の両面から、それまでの仕事を概観できるように構成した1963年発行の版画集(評論家によるテキスト入り)と、最晩年の作品を展示します。
長谷川潔 1891-1980展 -日常にひそむ神秘-
会場 町田市立国際版画美術館
会期 2022年(令和四年)7月16日(土)から9月25日(日)まで
開館時間 平日:午前10時~午後5時 土日祝:午前10時~午後5時半(入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜日
※但し7/18(月)、9/19(月)の祝日は開館、翌7/19(火)、9/20(火)は休館
観覧料 一般800円(600円)、大・高生400円(300円)、中学生以下無料
※カッコ内は20名以上の団体料金
※7/27、8/24はシルバーデー(毎月第4水曜日は満65歳以上の方無料)
※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者保健福祉手帳をご提示の
方と付き添いの方1名は半額
※リピーター割引、ウェブクーポン割引、タクシー割引、パスポート割引あり(詳細は同館ホームページに掲載)
町田市立国際版画美術館公式サイト http://hanga-museum.jp/
■■■■たくさんのご応募ありがとうございました。締め切りました。「長谷川潔 1891-1980展 -日常にひそむ神秘-」招待券プレゼント■■■■
「長谷川潔 1891-1980展 -日常にひそむ神秘-」の開催を記念して、M&Cの読者の中から5組10名様にチケットをプレゼントいたします。
以下のフォームより、お名前、メールアドレス、ご住所をお書きになり、ご応募ください。
締め切りは、2022年8月14日24時です。
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