アート

Posted on 2021-03-14
独自の表現を打ち出し、時代を切り開いた日本画 「日本画の150年 明治から現代へ」



森田曠平 《女神春秋 花鎮め》 昭和57(1982)年 茨城県近代美術館寄託 

 
52作家84作品で日本画の150年をたどる
茨城県近代美術館で「日本画の150年 明治から現代へ」が開催されます。

幕末から明治にかけて西洋絵画が本格的に紹介されるようになると、人々はその写実的な表現に驚かされました。

画家たちの中には、西洋絵画の技法を学び油彩画に取り組んだ人々がいる一方、岩絵具や和紙といった日本の伝統的な画材を基盤としながら、西洋絵画の表現も取り入れつつ、あらたな時代にふさわしい日本画の創造を目指す人々も現れました。

明治期には横山大観や菱田春草らが、空気感や内面的な感情をどのように表現するかについて試行錯誤し、芸術の自由が標榜された大正期には、今村紫紅や速水御舟らが独創的な作品を発表しました。

古典が見直された昭和前期を経て、戦後、伝統的なものが否定される状況から再出発した画家たちは、それまでの日本画ではあまり扱うことのなかった主題にも取り組み、戦前とは表現を一変させました。

人間の存在を問うような作品が描かれたのもこの時期の特徴です。

その後登場した戦後生まれの画家たちは、明治以来続いた、西洋絵画を意識しながら日本画を描くことからは距離を置き、日本画ならではの特性を生かした制作を行っています。 
 
茨城県近代美術館の日本画は、所蔵品と寄託作品をあわせると約800点に及びます。

所蔵作品展などで年間を通して順次展示していますが、茨城県天心記念五浦美術館で保管されている作品があるため、当館で展示したことのないものもあります。

今回はそうした作品も多数展示し、画家たちが独自の表現を打ち出して時代を切り開いてきた日本画の150年をたどります。
 
 
展示構成と主な展示予定作品
第1章 江戸から明治へ

横山大観「松月雪景」 明治37(1904)年 茨城県近代美術館寄託
菱田春草「帰漁」 明治37(1904)年 茨城県近代美術館所蔵
 
第2章 大正から昭和前期
横山大観「瀟湘八景」大正 2-3(1913-14)年頃 茨城県近代美術館所蔵
安田靫彦「源氏若紫」昭和 8(1933)年 茨城県近代美術館所蔵
 
第3章 戦前から戦後へと受け継がれる美―美人画、花鳥画、歴史画
森田曠平「女神春秋 花鎮め」 昭和57(1982)年 茨城県近代美術館寄託
 
第4章 昭和戦後から現代へ
上野泰郞「裁きの時」昭和49(1974)年 茨城県近代美術館寄託
片岡球子「喜多川歌麿」 昭和53(1978)年 茨城県近代美術館寄託
宮いつき「ふたり」平成12(2000)年 茨城県近代美術館寄託
フジイフランソワ「オオゲツヒメノカミ」 平成24(2012)年 茨城県近代美術館所蔵
那波多目 功一「寂光」 平成25(2013)年 茨城県近代美術館所蔵
 
 
日本画の150年 明治から現代へ
会期 2021年(令和三年)4月17日(土)から6月20日(日)まで ※5月17日(月)に一部展示替え
休館日 月曜日(※ただしGW 中の5月3日(月・祝)は開館)、5月6日(木)
会場 茨城県近代美術館
開館時間 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
※今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合があります。
入館料 一般610円(490円)、満70歳以上300円(240円)、高大生370円(320円)、小中生240円(180円)
※(  )内は20人以上の団体料金
※障害者手帳・指定難病特定医療費受給者証等をご持参の方は無料
※6月5日(土)は満70才以上の方は入場無料
※土曜日は高校生以下無料

※入場はオンラインで「日時指定WEB整理券」(無料)を取得された方が優先です。詳細は茨城県近代美術館HP(http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp)をご覧ください 。 
  

片岡球子 《喜多川歌麿》 昭和53(1978)年 茨城県近代美術館寄託 


  

横山大観 《松月雪景》  明治37(1904)年 茨城県近代美術館寄託 

   
  

フジイフランソワ 《オオゲツヒメノカミ》 平成24(2012)年 茨城県近代美術館所蔵 


  

那波多目功一 《寂光》 平成25(2013)年 茨城県近代美術館所蔵 

 
 
 

           




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