アート

Posted on 2011-10-18
書道博物館で「呉昌碵の書・画・印」展 日本人との交流を示す作品も紹介 東京国立博物館との連携企画


Writer:蓬田(よもぎた)修一

東京・台東区の書道博物館では、2011年9月13日から11月6日までの会期で、「呉昌碵の書・画・印」展が開催中です。

呉昌碵(ごしょうせき 1844~1927)は、清朝末期から民国初期にかけて、書・画・印に妙腕をふるった、清王朝300年の掉尾を飾る巨匠です。17歳のとき、太平天国の乱にあい一家は離散、呉昌碵は悲惨な逃避生活を送ります。

22歳で科挙を受験する資格を得るものの、栄達を望まず、小官に甘んじながら印学の研鑽を積み、やがて書画の才能も開花させます。56歳で安東県(現在の江蘇省漣水(れんすい)県)の知事になりますが、腐敗した官界に耐えられず、わずか1ヶ月で辞職してしまいます。そのころはすでに盛名を馳せており、書画篆刻で生計を立て、84歳で没するまで旺盛な創作を展開しました。

呉昌碵は晩年まで石鼓文(せっこぶん)の臨書に励み、その風韻を書・画・印に結実させました。多作で知られ、その作品数は数千にも及ぶと言われています。今回の展覧会では、自らの方向を模索していた40代から、円熟した境地を示す最晩年までの作風の変遷が概観できます。

日本人との交流

呉昌碵の作風は多くの人を魅了し、日本でも熱烈なファンを生みました。展示会場には、彫刻家・朝倉文夫や、漢学者・長尾雨山(ながおうざん)との交流を示す貴重な資料が紹介されています。

なお「呉昌碵の書・画・印」展は、今回で9回目となる東京国立博物館との連携企画で、同博物館の平成館・企画展示室においても、同一テーマで展示が行なわれています。

<書道博物館>
開館時間:9:30~16:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日 :月曜日
観覧料 :一般・高校生500円 高・中・小学生250円
書道博物館 公式サイト

<東京国立博物館>
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※特別展開催期間中の金曜日は20:00まで開館
休館日 :月曜日
観覧料 :一般600円 大学生400円
東京国立博物館 公式サイト

呉昌碩 篆書「神在箇中」額 台東区立朝倉彫塑館蔵(展示期間:11月6日迄)

第1展示フロア(1F)。正面ケースにかかっているのは、呉昌碵が晩年の70歳代に書いた「臨石鼓文軸」4作品。

第2展示フロアー(2F)。扇面に描かれた絵や、呉昌碵が書いた跋文なども展示されている。

中村不折記念室(2F)。呉昌碵の画が展示され、室内は華やいだ雰囲気だ。中央に展示されている胸像は、朝倉文夫が制作した京劇俳優・梅蘭芳。朝倉文夫は呉昌碵の胸像も制作した。



Tags:,
Posted in アート | Comments Closed

Related Posts